リーダーは部下の強みが活かせるように仕事を割り振る

次に、段取り力についてです。

勝つためのストーリーを組み立て、情報を取得できたとしても、それを実現するためには、いろいろとやるべきことがあります。

先ほどの新規開拓の例では、担当者の抜てきや訪問先のリストアップとアポイントメント、訪問時の説明資料の準備など、会社によっては商談のシミュレーションをするロールプレイング(役割演技)研修を実施して、実践的なスキルを磨くケースもあります。

これらも段取りして進めないと、「新規開拓に注力したけど、1年たっても成果が得られない」ということにもなりかねません。

オフィスでの会議
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タスクやスケジュールを一覧表にして「段取り力」を磨く

具体的な段取りとしては、「やるべきタスク(仕事)」「担当者」「スケジュール」を明確にした一覧表を作成します。担当者の割り振りは、部下の強みを考慮しながら決めます。

秀吉も、戦闘には加藤清正や福島正則などの武功派をあてる一方、事務や物流などの裏方には石田三成などの実務派をあてました。

“人たらし”ともいわれる秀吉は、それぞれの家臣の強みを把握し、仕事を任せ、活躍できるようにすることで、家臣たちのプライドがくすぐられるようにしていたのです。

一覧表を作成したうえで、会議や日ごろのコミュニケーションを通して具体的なタスクを指示(依頼)したり、進捗を確認したりすることになります。

基本的には会議を通じての確認でもよいですが、会議では把握できない担当者の本音やちょっとした悩みがあったりするものです。

何気ない日ごろのコミュニケーションのなかで、「仕事はうまく進んでいる?」といったやりとりが意外と問題解決に直結しやすく、部下の仕事が進みやすくなります。

労働時間が短くなっている昨今でも、豊臣秀吉のようにスピード感をもって成果を実現するためには、「効率的で確度の高い情報収集力を磨く」「迅速・確実に進めるための段取り力を磨く」ことが、これまで以上に求められてきます。

増田 賢作(ますだ・けんさく)
経営コンサルタント

小宮コンサルタンツ コンサルティング事業部長・エグゼクティブコンサルタント。1974年、広島市生まれ。早稲田大学法学部卒業後、生命保険会社、大手コンサルティング会社、起業を経て、現在に至る。中学・高校で司馬遼太郎の著作を読破し、日本史・中国史・欧州史・米国史と歴史書も読みあさる。現在は経営コンサルタントとして100社以上の経営者・経営幹部と向き合い、歴史の知識を活かしたアドバイスもしている。