非課税枠の復活は大きなメリット

では、具体的にどうやってスイッチしていくのかというと、非課税枠を一部空ける必要があるため、成長投資枠でこれまで保有していた銘柄の一部を売却して、現金化してから高配当株を購入する、といったプロセスを踏みます。

テーブルの上に「非課税」のテキストが付いた木製のブロック
写真=iStock.com/Seiya Tabuchi
※写真はイメージです

旧NISAにはなかった、この「非課税枠の復活」こそが、新NISAの大きなメリット。

ただし、次の2つの注意点があるので頭に入れておきましょう。

【注意点1】売却後の復活枠がいくらになるかきちんと計算する

新NISAで購入した投資信託を売却したとき、投資可能額はいくら復活するのでしょうか。計算式は以下の通りです。

【計算式】
元本=売却額/(1+損益率)
損益率=(評価額/取得額)-1

次の数字を例に、計算してみましょう。

1800万円投資して900万円の利益が出た場合=資産の合計2700万円

その一部300万円を売却したときの復活枠は――

(2700/1800)-1=0.5(損益率)
300/(1+0.5)=200(元本)

つまり、NISA投資枠の復活額は、200万円になるということ。

これを「簿価残高方式」(購入した株式や投資信託での利益は加味されず、購入したときの買値だけで非課税投資枠が管理されること)と呼びます。

よく、「300万円売却したから復活枠は300万円」と考える人がいますが、それは間違い。あくまで、復活するのは利益を差し引いた元本になるので、注意してください。

上記の例の場合は、300万円売却したあとにできた成長投資枠の復活枠200万円で、高配当株を買い直す、というかたちになります。

【注意点2】復活するのは翌年から

例えば、今年の5月に商品を売却し、「200万円分の非課税枠」が復活したので、「よし、すぐに高配当株を購入しよう!」といきたいところですが、これはNG。

新NISAでは、売却したその年のうちは、復活枠の利用が認められていません。NISAはあくまで長期運用を目的として作られた制度であるため、短期売買ができない設計になっているのです。

そのため、今年の5月に売却して開けた復活枠が利用できるのは、来年から……ということになるので、注意してください。