自分のなかに余白をつくる

自分の内側に余白を作ることも、グリーンゾーンを広げてくれます。

旅行や、リトリートや、瞑想のように心を静かな状態にもっていくワークは、自分の外側に余白をつくってくれます。しかし、その時はたしかにグリーンゾーンに戻っていけるかもしれませんが、ふだんの生活に戻ったとたんに日常の刺激にまみれ、効果が持続しないこともままあります。

そこで、わたしたちは、日常生活においてこそ自分のなかに余白をつくることを大切にしています。その取り組みの土台となっているのが、レッド、ブラック、グリーンゾーンの考え方です。

どうやったらグリーンゾーンの状態に戻れるか、わたしたちも常に試行錯誤しています。まずは自分の今の状態に意識を向けることから始めて、もしレッドやブラックゾーンにいると思ったら、どのようにグリーンな状態に持っていけるかどうかをその都度考えます。

ほんの一例ですが、就業時間中に「集中して自分の仕事をする時間」と「メンバーの話を聞く時間」を明確に分けた管理職がいました。自分の仕事のパフォーマンスが上がるだけでなく、チームのコミュニケーションもうまくいくようになりました。

タイムスケジュール
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これらは一種の実験であり、習慣化することと、自分にフィードバックをかけていくことが重要です。日常を自分の実験室に仕立て、どのようにしたら自分のなかの余白が広がるか、どのようにレッドからグリーンへ戻ってこられるかを観察してみてください。

実験ですから、うまくいかなければ別のことを試してみればいいのです。「失敗してはダメ」というマインドセットは手放しましょう。10回試してみて、2回ぐらい上手くいけば大成功です。完璧にできることなんてありませんから、まずは実験のみ。あなたが見る世界が少しずつ変わってくるかもしれません。

構成=佐々智佳子

ジェレミー・ハンター(Jeremy Hunter)
クレアモント大学院大学ピーター・F・ドラッカー・スクール准教授

クレアモント大学院大学のエグゼクティブ・マインド・リーダーシップ・インスティテュートの創始者。東京を拠点とするTransform LLC.の共同創設者・パートナー。「自分をマネジメントできなければ人をマネジメントすることなどできない」というドラッカーの思想をベースに、リーダーたちが人間性を保ちながら自分自身を発展させるプログラム「エグゼクティブ・マインド」「プラクティス・オブ・セルフマネジメント」を開発し、自ら指導にあたっている。「人生が変わる授業」ともいわれるこのプログラムは、多くの日本の企業幹部も受講している。バージニア大学大学院でも講座を持つ。教育機関以外においても、政府機関、企業、NPOなどでリーダーシップ教育を行っている。シカゴ大学博士課程修了。ハーバード大学ケネディースクール修士。日本人の相撲取りの曽祖父を持つ。