「損してもいい」と思える若い世代なら投資の勉強を兼ねて

このように、投資のセオリーなんて当てにならないものなのです。長期投資や分散投資なら大丈夫なんて思わないほうがいいですし、「国がすすめる商品だから初心者も安心」「日経平均株価が4万円を超えた今が始めどき」といった浅い情報にも踊らされず、考えてほしいと思います。投資はどんな結果が出ようとも自己責任。損しても誰も責任をとってはくれないのです。

私は大半の人には新NISAを始めてもらいたくありません。ただし、若い人だけは別です。まだ若くて投資への興味も余分なお金もあるのなら、むしろやってみたほうがいいと思っています。勉強にもなりますし、今のうちに失敗して痛い目に遭ったほうがいいですから。

投資を実際にやってみると、リスクってこういうところにあるんだなというのが身にしみてわかります。私自身もずっと投資を続けてきて、これまでに山ほど痛い目に遭いました。バブル崩壊もリーマンショックも経験し、今では投資のうまみも怖さもわかっているつもりです。幾度もの失敗を経て、損をしても「自己責任だから」と納得できるようになりました。

投資は日銀がデフレ脱却宣言をした後に始めても遅くない

怖さを知ったからこそ、人に安易にすすめてはいけないと肝に銘じるようにもなりました。それでもやはり、若い人だけは早いうちに投資の怖さを知っておいたほうがいいんじゃないかなと思います。若いうちなら投資に失敗して100万円が50万円になっても、その分を働いて稼ぐだけの時間があるからです。

これが年齢を重ねてからではそうはいきません。ずっと投資を知らずに生きてきて、年配になって初めてチャレンジしたら大失敗してしまった。これでは取り返しがつきませんし、精神的ダメージもかなり大きなものになってしまいます。

ですから若い人以外には、今は焦って投資を始めずに、そのお金を預金に回すことをおすすめします。先ほどの卵の話でいえば、カゴを落としても割れないのは預金だけ。新NISAもそれ以外の投資も、始めるかどうかは日銀がデフレ脱却宣言をした後にまた考えればいいことだと思います。

構成=辻村洋子

荻原 博子(おぎわら・ひろこ)
経済ジャーナリスト

1954年、長野県生まれ。経済ジャーナリストとして新聞・雑誌などに執筆するほか、テレビ・ラジオのコメンテーターとして幅広く活躍。難しい経済と複雑なお金の仕組みを生活に即した身近な視点からわかりやすく解説することで定評がある。「中流以上でも破綻する危ない家計」に警鐘を鳴らした著書『隠れ貧困』(朝日新書)はベストセラーに。『知らないと一生バカを見る マイナカードの大問題』(宝島社新書)、『5キロ痩せたら100万円』『65歳からはお金の心配をやめなさい』(ともにPHP新書)、『年金だけで十分暮らせます』(PHP文庫)など著書多数。