印西市はニュータウンの中核で、子育て世帯が流入

首都圏では千葉県印西市も2050年人口が2020年比の指数で116.8となり、人口が増える市区町村の6位に挙がっている。

印西市は、千葉県北部の都市で、2024年3月の人口は10万8399人と、人口規模はさほど目立たないものの、業務核都市として千葉ニュータウンの中心都市となっている。人口に比べて124キロ平方メートルと広い市域を持ち、マンションや戸建住宅が多く、東京都心などに通勤する子育て世帯が多数住む都市となっている。印西市では、子育て世帯の転入増により、他の自治体に比べて、0歳から14歳の人口の伸び率が高くなっているとしている。若年層が多いということは、将来的な人口増加につながっていくはずで、それが高い人口増加率の予測につながっているのだろう。

と同時に、国内企業だけではなく世界中の企業のデータセンターが進出、「情報城下町」として注目される存在となっている点も見逃せない。印西市は関東平野のなかでも活断層が存在しない岩盤が強固なエリアに位置し、地震などの大規模災害へのリスクヘッジの場所として国内の大企業や世界的な企業のデータセンターが次々と建設されているのだ。それが人口増につながり、住宅、不動産へのニーズが強まる要因になる。

安全性とともに、東京と成田空港との中間に位置し、京成高砂駅、押上駅などを経由すれば東京駅も1時間弱で、京成成田スカイアクセス線のアクセス特急を利用すれば、成田空港も30分弱の時間距離になる。都心からはかなり遠いようなイメージがあるが、交通アクセスは必ずしも悪くないのだ。

大都市部隣接エリアでも人口大幅減の可能性

人口増が見込まれる市区町村がある一方、大幅に減少するとされるエリアもあり、そんな場所にマイホームを買っては、将来の資産価値の低下は免れない。

国立社会保障・人口問題研究所の予測で、2050年の人口が、2020年を100とした指数で30を下回る市町村は図表2ある通りだ。

基本的には大都市圏以外のエリアが中心だが、それでも群馬県、奈良県など首都圏や近畿圏周辺の市町村も含まれている。

大都市圏に隣接するだけに、東京都や大阪府などに人口が吸収される可能性が高いエリアということができる。そうしたエリアではよほど地元の魅力がないと、過疎化が急速に進行する可能性がある。住宅価格が中心部に比べると安いという魅力はあるだろうが、人口が減少すると、なおいっそう安くなってしまうリスクがあるので、十分に注意しておきたい点だ。

【図表】2050年人口が2020年比で30%以下の市町村(2020年を100とした指数)
出典=国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(2023年推計)

住まいのエリア選びで注目したい今後の人口の増減

ここまでみてきたように、千葉県流山市、印西市はともに自然環境に恵まれ、子育て世帯の流入が増加しており、人口が増えつつあり、中長期的にみてもその傾向が続くものと期待されている。人口の増加は公共施設や商業施設などの充実をもたらし、住環境がいっそう充実し、マンションや戸建住宅などの住宅も増えることが期待され、そこに住みたいと考える人たちが増加すると期待される。

実際、国立社会保障・人口問題研究所の予測でも人口増加が続くとみられ、エリアの活性化にともなう住宅や不動産価格の上昇も期待される。

反対に大都市周辺部でも大幅な人口減が懸念される市町村が少なくない。これから住まい選びを、エリア選びから始めたいと思っている人にとっては、ぜひとも注目しておきたいデータといっていいいだろう。

山下 和之(やました・かずゆき)
住宅ジャーナリスト

1952年生まれ。住宅・不動産分野を中心に新聞・雑誌・単行本の取材、執筆、講演、セミナー講師など幅広く活動。著書に『2017-2018年度版 住宅ローン相談ハンドブック』『よくわかる不動産業界』など。