1ドル=360円まで円安進行。通貨安と借金増で破綻危機に

【渡邉美樹・ワタミ会長(以下、渡邉)】日本でバブルが崩壊して以降の約30年で日銀がお金を印刷した量をアメリカと比較すると、日本は実質的に6倍になっています。

バブル当時の為替相場は1ドル=100円程度でしたから、ほかの要因をすべて除いて極端な話をすれば、今は「1ドル=600円になっていてもおかしくはない」と言えます。日本は約30年前にバブルが崩壊して、そこから経済成長をしなくなったのですが、それでもお金の使い方を変えませんでした。日本は戦後ずっと同じようなお金の使い方をしてきたのです。

それどころか少子高齢化が進んだため、それを解決するために、より多くのお金を印刷してきました。政治家は特別に「たくさんのお金を刷ろう」と考えたわけではありません。経済成長していないにもかかわらず、何も考えずに今までと同じサービスを続けてきた結果、お金の量が莫大になってしまったのです。それが今の日本の実態です。

そう考えると、円安は少なくとも以前の1ドル=360円まで戻るだろうというのが私の考え方です。円安にはメリット・デメリットがありますが、基本的に通貨の強さは国力そのものですから、日本にとっては円高が必要だと思います。

【ロジャーズ】6倍という数字を含めて日本の現状をもっと発信してほしいですね。国内だけでなく世界に伝えるべきでしょう。日本の大きな課題である円安を解決するには、「出生率を上げる」「借金を減らす」の2つの方法しかありません。しかし、政治家や日本人はそれを好みません。だから円安はいっそう進むでしょう。

たとえば日本の政治家は「われわれは日本人だ」「誰よりも優れている」と言って、移民を増やそうとしません。歴史を見れば、人口が減り、借金が増えた国は破綻に向かうことは明白です。にもかかわらず、政治家は「今回は違う」と言うでしょう。「今回は違う」という言葉は本当に危険です。誰かがそう言うとき、大抵は間違っているものですから。

「日銀が何をしても円安トレンドは変わらないし、もっと円安は進むだろう」とジム・ロジャーズ氏
撮影=Takao Hara(Luxpho)
「日銀が何をしても円安トレンドは変わらないし、もっと円安は進むだろう」とジム・ロジャーズ氏

【渡邉】日本ではマイナス金利を解除したら円高になるといわれていましたが、解除発表後、円高どころか円安が進んでいます。マイナス金利になっていたのは、日銀の当座預金500兆円のうち30兆円しかありません。ほとんどマイナス金利は適用されていない。世界中の投資家に見透かされたのです。

マイナス金利を解除しようと、アメリカが利下げしようと、それは大きな問題ではありません。私は日本の国力の問題だと思います。構造的な日本という国の財政の問題です。そうした大きな視点からすれば、今の円安が一時的に円高に振れることがあっても、円安の大きな流れは2024年以降も変わらないでしょう。そしてさらに進むと考えています。

【ロジャーズ】中銀が何をしても円安のトレンドは変わりません。私は、この先、円高になるイメージはまったく持っていません。円がいまだにこの水準であることにむしろ驚いています。もっともっと円安になるはずです。