2020年夫の毒殺計画が実行され、身を挺して夫を守った
決定的な転機は、2020年8月の夫の毒殺未遂だった。
アレクセイは、シベリアのトムスクからモスクワへ向かう飛行機の中で苦しみ始め昏睡状態に陥った。飛行機はシベリアのオムスクに緊急着陸した。その後、彼の支持者は、空港で飲んだお茶に毒を盛られたと考えていたが、後日もっと恐ろしい事実が判明した。
欧州各国やEUの首脳、国連組織やNGOが反応する中で、メルケル独首相とマクロン仏大統領は、ナワリヌイ夫妻を助ける用意があると述べた。そしてメルケル首相が、ドイツからナワリヌイ氏の搬送機と医療チームをロシアに派遣したのだ。
夫をドイツの病院に移送し、救出活動を主導したのはユリアだった。
※後編に続く
フランス・パリ在住。EU、国際社会や地政学、文化、各国社会等をテーマに執筆。ソルボンヌ(Paris 3)大学院国際関係・欧州研究学院修士号取得。駐日EU代表部公式ウェブマガジン「EU MAG」執筆。前大使のインタビュー記事も担当(〜18年)。編著『ニッポンの評判 世界17カ国レポート』(新潮新書)、欧州の章編著『世界で広がる脱原発』(宝島社)ほか。Association de Presse France-Japon会員。フランスの某省関連で働く。出版社の編集者出身。早大卒。