「三歳児神話」は張りぼてに過ぎない

実家で暮らしていた当時、絶対権力者だった父を支える母を見て育った内田さん。内田さんの母は、生まれたばかりの子どもをすぐに保育園に預け、外で働き続ける内田さんの妻のことがまったく理解できず、批判的だった。

三歳児神話なんてものは、張りぼてに過ぎないんですよ。女性が社会進出していなかった時代だから、「ならば、家庭で活躍しなさい」という認識だっただけなんです。女性が活躍するようになれば、そんな神話は一瞬で消し飛びます。

三歳児神話とは「三歳までは、常時家庭で母親が育てないと、その後の子どもの成長に悪影響を及ぼす」とされるもので、今も一部で根強く語られている。厚生白書(一九九八年版)は「三歳児神話には、少なくとも合理的な根拠は認められない」とした上で、その論拠として、母親の育児専念は歴史的に普遍ではなく、たいていの育児は父親(男性)でも可能であり、むしろ母親と子どもの過度な密着は弊害を生んでいることなどを挙げ、当時、注目を集めた。

抱っこした子供に話しかけている母親
写真=iStock.com/Satoshi-K
※写真はイメージです

妻が働き続けることを批判していた母

専業主婦だった内田さんの母親は、内田さん夫妻に子どもが誕生してから「子どもは三歳までは、母親が専念して育てるべきだ」、「せめて小学校に入るまでの間、母親は仕事を辞めるべきだ」、「仕事を続けていると、子どもが一番可愛い頃を見逃すことになる。働くのが良いと思ってるのかもしれないけど、絶対に将来後悔する」などと書いた長文LINEを何度も送ってくるようになった。宛先は主に内田さんだが、時には妻に直接送付することもあった。

私たちの育児方針に対し、かなり苦々しく見てましたから。妻が働き続けて、生後三カ月で保育園に入れるなんて、あり得ないと思っていました。「何で、ウチの息子にそんなに家事や育児をやらせるのか。過剰な負担をかけないでほしい」という不満もあったのでしょう。

妻は、義母から直接不満を言われても、それほど気にすることなく仕事を続けた。