気密性が高いと汚染物質が戸外に排出されにくい

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換気設備
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最近の住宅は以前の木造住宅などと違い、冷暖房を効率よく使用できるように建物の気密性が高くなっています。そのため家の中に入り込んだ化学物質などの汚染物質も戸外に排出されにくくなりました。その他にも、住まいの気密性が高いと家の中に空気が滞留しやすく、湿度が上がり、結露などによるカビやダニなどが繁殖しやすい環境にもなっています。

この汚染物質やカビやダニなどに浸食されていると、頭痛やめまいなどの化学物質過敏症やアトピー性皮膚炎などのアレルギー症状を引き起こしやすくなります。とくにカビなどは、住む人への健康被害はもちろん、住まいの劣化も早めます。そのほかにも、室内の二酸化炭素濃度が高くなると、頭痛や集中力・思考力の低下により作業効率が低下するという弊害も報告されています。

この二酸化炭素や汚染物質を除去し、また空気を循環して結露を起こしにくくするために設置するものが24時間換気システムです。2003年に建築基準法が改正され24時間換気システムの設置がすべての建物に義務付けられました。

この24時間換気システムとはその名前のとおり常時空気の入れ替えをしてくれる換気システムのことで、スイッチを入れておけば窓を開けなくても常に住宅内の汚染物質を排出し、室内の空気をきれいに保つことができます。空気が滞留しにくいので結露も起こしにくくなります。24時間換気システムには3つの種類がありますが、住宅で主に使われているのは「全館空調」と言われている第1種換気タイプのものと、一般的なマンションに多い、壁の給気口から空気を取り入れ浴室などから排気する第3種換気タイプになります。

換気しないと病気リスクが高まる

しかしせっかく24時間換気システムがついている住まいでも、暑い夏の時期や冬の寒い時期は冷暖房効率が下がるからと、スイッチを切ってしまうご家庭がたいへん多いのです。そうすると、室内は汚染物質やカビ・ダニなどに侵食されやすく、病気リスクを高める結果につながります。そのため、24時間換気システムがついている場合は、1年を通してスイッチを切らないようにしましょう。

どうしても冷暖房時の熱効率のロスが気になる場合は、「熱交換型」タイプといって、冷暖房された熱エネルギーを排気と給気で上手にやり取りするタイプの24時間換気システムを設置してください。室温を変えずに換気ができるので、冷暖房時のロスがなくなり省エネになります。また換気はしたいけれど花粉や黄砂など外気の汚染が気になる場合は、給気口などに取り付ける高性能のフィルターが販売されていますので、交換してみてください。

24時間換気システムがついていない古い住まいの場合は、お部屋ごとに24時間換気システムをつける方法や、いまついているトイレやキッチン・浴室などの換気扇を24時間換気システムに交換する方法などがあります。人が体内に取り込むもので最も多いものが空気で、一日に約1万5000リットル以上の空気を吸い込むと言われています。そのため、水や食事だけではなく、換気された綺麗な空気の中で生活することはご家族の健康を守るためにも、また住まいの寿命を延ばすためにも大切です。