「彼女たちのポテンシャルはすごいんです」

本田氏がウズベキスタンに残そうとしているものは、間違いなくこの国の女子サッカーのスタート地点になるに違いない。

「彼女たちのポテンシャルはすごいんです。この2年、そしてこの最終予選はあくまでも“きっかけ”に過ぎません。ここからしっかり強化を続けていけば、数年後にはワールドカップに出場する国になるはず。オーストラリアは強いですよ。そこで自分たちが積み上げてきたものを少しでも出す意地があるか、選手たちにはそこを見せてほしいですね」

「楽しむ余裕なんてない!」と苦笑う本田氏だが、チャレンジャーだからこその強みもある。カメラを向ければとびっきりの弾ける笑顔を投げかけてくれるウズベキスタンの選手たち。移動のバス内では音楽が鳴り響き、常にハイテンションだ。ひとたびピッチで流れをつかむと、それは楽しそうにうれしそうにゴールを目指す。

ピッチで流れを掴むと、楽しそうに嬉しそうにゴールを目指す。「彼女たちのポテンシャルはすごい」と本田監督も目を細める。
撮影=早草紀子
ピッチで流れをつかむと、楽しそうに嬉しそうにゴールを目指す。「彼女たちのポテンシャルはすごい」と本田監督も目を細める。

何かやってくれるのではないか、そんな期待を寄せたくなるチームだ。この2連戦は苦しい時間帯が長く続くだろう。けれど、ウズベキスタン女子サッカーの歩みをとどまらせない、この2年間を凝縮したような、最終予選はそんな戦いにしてほしい。

本田 美登里(ほんだ・みどり)
サッカー女子ウズベキスタン代表監督

1964年生まれ、静岡県出身。日本女子代表通算として44試合に出場。85年〜91年、読売クラブ女子メニーナコーチ。2001年〜10年、岡山湯郷Belle監督。その後、U-20日本女子代表アシスタントコーチ、AC長野パルセイロ・レディース監督、静岡SSUアスレジーナ監督などを経て、22年1月よりウズベキスタン監督。

早草 紀子(はやくさ・のりこ)
フォトグラファー/ジャーナリスト

兵庫県神戸市生まれ。1994年からサッカー専門誌などに寄稿。96年から日本女子サッカーリーグのオフィシャルカメラマンを担当したことが女子サッカーに足を運ぶきっかけになった。現在は男女のクラブチームを持つ大宮アルディージャのオフィシャルフォトグラファーを務める。著作に『なでしこの教え』『紡 なでしこジャパンが織りなす21の物語』『がけっぷち上等! なでしこは泣いて笑って強くなる』など。