入れ替わりの激しい芸能界で10年間のブランクがあると…
ただ、そんな暑苦しい期待感があったことを私が思い出したのは「黒木メイサ離婚報道」のずっと後。「そういえば昔、もったいないなーと思った気がする」と、今年に入って正月行事を全て終えたころだ。黒木メイサはずっと海外で子育て&結婚生活を送っていたらしいので、本来ならば離婚報道を聞いた途端、「すわ! 解禁か!」と、彼女のこれからの活躍にわくわくしたって良かったはず。
あれだけ肩入れしていたというのに、10年以上のブランクというのはそれほどまでに長いらしい。そして、人に忘れられたり、培ったスキルを失ったり、何より芸能人特有のオーラみたいな光をなくすのは思うよりずっと早いものなのかもしれない。
しかし、この記事を書くにあたり黒木メイサのInstagramを見たところ、彼女は相変わらず美しくスタイルもキープしており、離婚しようとブランクがあろうと生活の心配もなさそうで安心した。それどころか、「海外暮らし、元がついたけどイケメン夫の子を育て、きれいで素敵なママライフ」は若い女性たちのあこがれであり、今後はもっとモデルもできるだろうし、何かのアンバサダーとか、化粧品やアクセサリーなんかの開発案件など、ごまんとオファーが来るはずだから、どちらかと言えば順風満帆な印象である。
結婚・出産でキャリアが止まってしまうのは一般人も同じ
ただ、これから、かつて私たちが期待していたような「大女優」を目指すというのはなかなか厳しいのではないだろうか? と思ってしまう。
同年代の、キャリアを積んできた女優さんたちが他にわんさかいるし、そもそもこれと言って代表作のなかった彼女が、今から勉強し直したり、端役を引き受けたりしながらでも目指すだろうかと思うと「黒木メイサ、スター女優への道」が私には見えない。
残念である。残念だがこの既視感はなんだろうと思っていたら、われわれ一般人の世界でも全く同じ「もったいない」を私はずっと感じ続けてきたことに気づく。
私は長いこと人材コンサルを生業としていたので、多くの会社の社長や人事部と直接取引をしていた。そして、毎年彼ら彼女らからよく聞いたものだ。「今年、とても優秀な新卒女性が入ったんですよ」と。そういったコメントを全て合わせると、今では相当数の女性管理職が生まれているはずなのだが、実際にはその新卒女性たちは早々に結婚退職したり、もっとラクな仕事へとキャリアダウンしていった。