生活習慣病がアルツハイマー型認知症のリスクを高める

誰もが認知症になりたくない、なったとしても重症化は避けたいと思っていることでしょう。そのためにも、若いうちから認知症を予防することが大切。生活習慣を整えるセルフケアで、自分の認知機能を自分で維持することが重要です。

生活習慣病はアルツハイマー型認知症のリスクを高めることがわかっています。高血圧、高コレステロールによりアミロイドβは増加。そして動脈硬化が起こればアミロイドβが血管から排出されず脳内にたまりやすくなります。

WHO(世界保健機構)は認知機能低下や認知症のリスクを低減する12項目を提示。その中には体重、高血圧、糖尿病、脂質異常症の管理が含まれています(図表3)。健康診断などで生活習慣病を指摘された人は、まずはそれを改善するための生活を送ることが重要です。

【図表3】認知機能低下や認知症のためのリスク軽減

食事は主食・主菜・副菜を組み合わせてバランスよく食べ、飲酒は適量に。健康的な食事のために、できれば誰かと一緒に食事を取ることをおすすめします。また読書や楽器演奏、クロスワードパズルなどの知的活動、息が上がる程度のウォーキング、水泳などの運動習慣を持つことも効果的です。アルツハイマー型認知症は40代、50代から始まっています。将来認知症になるかならないかは、今現在の健康習慣が大きなカギになるといえるでしょう。

構成=釼持陽子

羽生 春夫(はにゅう・はるお)
総合東京病院認知症疾患研究センター長

81年東京医科大学卒業。元東京医科大学病院副院長。東京医科大学病院地域連携型認知症疾患医療センター長として、地域における認知症診療の医療支援体制構築に尽力。2020年4月、総合東京病院認知症疾患研究センター長に就任。認知症疾患研究センター(もの忘れ外来)で診療にあたる。専門は老年病学、神経病学(特に認知症)。日本老年医学会、日本認知症学会、日本神経学会、ともに専門医・指導医。