片づけはコミュニケーションツールにもなる

私がよかったと思うのは、片づけを始めたことで「家族との会話が増えた」「夫や子どもが何を思っていたのかわかった」という話を卒業生たちから聞く時です。とてもうれしそうな顔をして、「本当のところがわかり合えた」と話してくれます。家族の気持ちを聞けて、自分の思っていることを言えたということが大切です。ひとつの答えにはたどり着かないかもしれません。でも、家族で起こっている問題の原因がわかることで、家族みんながスッキリするのです。

西崎彩智『キッチン「から」片づければ、家は必ずキレイになる!』(小学館)
西崎彩智『キッチン「から」片づければ、家は必ずキレイになる!』(小学館)

家庭内のコミュニケーション不足は、片づかない最大の要因です。コミュニケーションが増えると、ただ部屋がキレイになるだけでなく、家族がチームになれます。そして、その先に笑顔と「ありがとう」の回数が自然と増えていきます。家族みんなが「わが家がいちばんいい」って思えること。これが私のめざす片づけのゴールです。

また、片づけたことをうれしそうに話してくれる卒業生の顔は、受講前とは別人のようにやわらかい表情で、輝いています。自分を信じている人の顔です。片づけを通じて本来の自分を取り戻した人の顔です。

私は、このような人を増やしていきたいと考えています。家の片づけや家事にとらわれず、自由に自分の人生を歩けるような人を。ママだけが頑張る、家族のひとりだけ負担が大きい、という日本社会にありがちな現象を止めたいのです。

西崎 彩智(にしざき・さち)
お片づけ習慣化コンサルタント Homeport代表

1967年生まれ、岡山県出身。大学卒業後、住宅メーカーのインテリアコーディネータとして従事。結婚し、20年専業主婦を経験したが離婚。その後はヨガスタジオの店長としてスタジオに通う多くの女性のさまざまな相談に応じる。2015年、得意の片付けを生かして起業。お片づけ習慣化講座「家庭力アッププロジェクト」修了生は全国で3000名を上回る。