「教育ママ」というよりも「教材ママ」
こういった妻は、幼児の頃から学習塾に通わせたり、高度な小学校を受験させたりすることに没頭する「お受験ママ」とはまたタイプが違います。こちらは、「詰め込まない」「簡単に賢くなる」「早期天才児教育」という触れ込みに魅力を感じて、効果がわからない教材に手を出してしまうので、いわば「教材ママ」と言えるかもしれません。
とはいえ、妻自身が効果をわからないままやみくもに子どもに教材を与えているため、残念ながら満足な効果は上がりません。妻自身も、どこかで自分の教える能力に限界を感じます。そのため妻は焦り、子どもに感情的に当たり散らしたり、さらに高価な教材を買い与えようとしたりすることもあります。
このような問題が起きる夫婦は、妻が専業主婦であるなど、子育てのメインを妻が担っていることが多いです。もちろん夫は妻の教育方針に疑問を持ちますが、妻の方が子に接する時間も多いため、関与するにも限界があります。
教育に対する意見の違いが離婚のもとに
そして、多くのケースでは、子どもが小さいうちは習い事の感覚で片づけられるのですが、小学校に上がる頃に、夫婦の認識のずれが表面化します。
例えば、妻がインターナショナルスクールに行かせたい、海外の小学校に留学させたいと言い出すのに対し、夫が反対し、トラブルになるのです。A夫さんのように、夫婦の意見がどうしても合わないと、別居や離婚に至ってしまいます。時にはお互いの実家も巻き込んでの大げんかになることもあります。
子どもの教育は子育ての大きなトピックです。そこには自分が育ってきた環境や価値観が色濃く反映されます。できれば結婚前に子どもの教育観についても話し合い、相手をよく知ってから結婚することをおすすめします。結婚後も、また子どもが生まれてからも、夫婦で継続的に意見をすり合わせておくのがよいでしょう。
北海道札幌市出身、中央大学法学部卒。堀井亜生法律事務所代表。第一東京弁護士会所属。離婚問題に特に詳しく、取り扱った離婚事例は2000件超。豊富な経験と事例分析をもとに多くの案件を解決へ導いており、男女問わず全国からの依頼を受けている。また、相続問題、医療問題にも詳しい。「ホンマでっか!?TV」(フジテレビ系)をはじめ、テレビやラジオへの出演も多数。執筆活動も精力的に行っており、著書に『ブラック彼氏』(毎日新聞出版)、『モラハラ夫と食洗機 弁護士が教える15の離婚事例と戦い方』(小学館)など。