SNSに“キラキラ生活”を投稿

教材以外にも浪費が多いことも気がかりでした。妻はブランドものの子ども服を買いたがり、娘にそれを着せてSNSに投稿するのです。また、SNSでつながったママ友と高級ホテルのランチに行くこともあります。

妻はこうして一見キラキラした生活をSNSに投稿していました。英才教育、早期教育などのアカウントを大量にフォローして、感化されたのか、「日本の教育は間違っている」「これからは英語教育の時代」といった投稿もしています。

それでも妻が満足して、娘の英語が上達していたらいいのですが、実生活はSNSのキラキラとは徐々にかけ離れていきました。

子どもを怒鳴りつけ、ご飯をあげないことも

妻は毎日つきっきりで娘に英語をはじめとする勉強を教えていますが、一向に英語が上達しないばかりか、娘は幼稚園に上がる年齢になり、自分の気持ちが言えるようになると「やりたくない」と言って逃げ出すようになりました。妻はそのたびにイライラして娘を怒鳴りつけます。

仕事を終えたA夫さんが帰宅すると、娘が泣いていて、妻が「教材をやりたがらないからご飯をあげなかった」と怒っていることもあります。そもそも、教材を使って教えている側の妻も、英語は上達していません。

見かねて夫婦で話をしても、妻の態度は変わりません。A夫さんが「そんなに嫌がってるんだから無理せず辞めたらどうか」と言うと、妻は「あなたは何もわかってない、この子がグローバル社会に取り残されてもいいのか」と火がついたように怒ります。

夫の両親まで批判、離婚調停を申し立て

そんな日々が続いた頃、妻が娘の進学について話をしてきました。公立の小学校ではなく、インターナショナルスクールに行かせたいというのです。妻が出してきた資料を見ると、学費は年数百万円。「さすがにこんな学費は出せない、そもそも昔買った教材もいくらやっても効果がないじゃないか。やっとローンが終わったのに」とA夫さんが言うと、妻は激怒しました。

「子どもの頃から英語を勉強させないと今の時代生きていけない」「お金さえあれば○○さんの家のように天才児に育てられるのに」「娘が勉強ができないのはあなたの家系のせい」……。そしてA夫さんや両親の学歴、職業、収入を、延々となじってきたのです。

A夫さんや両親はごく標準的な学歴です。理不尽に批判をされてA夫さんは傷つきましたが、それでも「さすがにうちの収入ではこんなに高額な学校には行かせられない、地に足のついた教育を与えたい」と断りました。

すると妻は娘を連れて実家に帰り、弁護士に依頼して離婚調停を申し立ててきました。

A夫さんは困り果てて、私の法律事務所に相談にいらっしゃいました。