4つの所得控除を全て適用できると、所得税はいくら還付される?

では、4つの所得控除が全て適用になった場合の課税所得を計算します。

改めて前提条件の確認です。

・年齢50歳、東京都在住、健保加入
・年収1000万円(収入は全て給与収入、賞与なし)
・給与所得控除195万円、基礎控除48万円、社会保険料控除136万円
・課税所得は1000万円-195万円-48万円-136万円=621万円
・所得税は621万円×20%-42万7500円=81万4500円(復興特別所得税は考慮せず)

課税所得は、621万円-38万円(配偶者控除)-48万円(扶養控除)-19万8450円(社会保険料控除)-24万円(小規模企業共済等掛金控除)=491万1550円です。所得税は55万4810円となり、25万9690円の所得税が減らせます。

所得控除が適用になることで、翌年の住民税も減らすことができます。住民税の基礎控除は43万円、配偶者控除は33万円、扶養控除は38万円となります。住民税率は所得税率にかかわらず一律10%なので、所得控除金額合計×10%で節税金額を簡単に計算することができます。

4つの所得控除の合計額は33万円(配偶者控除)+38万円(扶養控除)+19万8450円(社会保険料控除)+24万円(小規模企業共済等掛金控除)=114万8450円なので、11万4800円(100円未満切り捨て)が節税できる金額です。

所得税と住民税を合わせると、37万4490円が節税できることになり、かなり大きな金額ですので、所得控除の申請漏れがないようにしたいところです。

今回は年収1000万円のケースで計算してきましたが、年収などの条件が変われば当然、節税金額は変わってきます。あくまでもご参考としてご確認ください。

5年以内なら「還付申告」できる! 税金を取り戻そう

所得控除が適用できていたにもかかわらず、受けていなかったという場合は、5年以内であれば「還付申告」をすることにより、払いすぎた税金が返ってきます。

還付申告は確定申告とは異なるものであり、翌年の1月1日から5年の間ならいつでも行うことができます。

「所得税の更正の請求書」という書類に必要事項を記入し、該当年の証明書を添付して、所轄の税務署に提出すればOKです。税務署や専門家に相談して、払い過ぎた税金をしっかりと取り戻しましょう。

頼藤 太希(よりふじ・たいき)
マネーコンサルタント

Money&You代表取締役。中央大学商学部客員講師。慶應義塾大学経済学部卒業後、外資系生命保険会社にて資産運用リスク管理業務に従事。2015年に現会社を創業し現職へ。ニュースメディア「Mocha(モカ)」、YouTube「Money&YouTV」、Podcast「マネラジ。」、Voicy「1日5分でお金持ちラジオ」、書籍、講演などを通じて鮮度の高いお金の情報を日々発信している。『はじめての新NISA&iDeCo』(成美堂出版)、『定年後ずっと困らないお金の話』(大和書房)、『マンガと図解 はじめての資産運用 新NISA対応改訂版』(宝島社)など書籍100冊、著書累計170万部超。日本証券アナリスト協会検定会員。宅地建物取引士。ファイナンシャルプランナー(AFP)。日本アクチュアリー会研究会員。X(@yorifujitaiki)