少子化にならない国は社会や政治が乱れる

【エミン】だから人口が減ることは、必ずしも悪いことだと思っていない。それにAIや自動化で人手不足もカバーできるようにはなるからね。ポイントは、持続可能な社会を考えた場合、どこまで人口の減少を許容できるか。欧州や米国は人口減少を移民でカバーしてきたけど、日本はそれをやらないから大きな問題になっているんだよね。

【パックン】人口が増えている国では、残った数少ない職種の取り合いになって、失業率が跳ね上がる。少子化ではない国のほうが社会的な不満、経済的な不満が広がる可能性があるから、社会や政治が乱れる可能性はありますね。

【エミン】そうね。

【パックン】AI化やロボット化が進む中では、むしろ日本のように緩やかに人口が減るほうが将来は明るいかもしれない。

【エミン】そうかもしれないね。欧州でルネサンスが始まった理由の1つは、疫病で人口が大きく減ったことだからね。

【パックン】労働の流動化。それまで農業しかやらせてもらえなかった人は人手不足で職人になることができたり。

エミンさん
撮影=市来朋久
エミンさんは「日本の人口が減ること自体は悪いことではない」という。

少子化対策の前に結婚をしやすくする必要がある

【エミン】1人当たりのリソースが増えて、さまざまな技術、科学、芸術が生まれたからね。ただ、政府がこれまで少子化を問題視してきたにもかかわらず、経済的な対策や働き方の改革に本気で取り組まなかったことは、大きな問題ではあるね。いまだに本気で少子化対策を考えているようには思えない。

【パックン】同感です。

【エミン】口では言っていても何も変わっていない。学費は上がっているしね。

【パックン】塾も無償化されていないし。そもそも私は塾反対ですけど。

【エミン】ドイツでは子どもに対する補助金が手厚いから、昔は子どもが5、6人いると、移民は親が働かずにチャイルドマネーだけで生活できていた。そんな本末転倒なことも起こるけど、ドイツの人口増加には貢献はしたよね。

【パックン】少なくともAI・ロボット革命が起きるまでは、人口増加は国力になりますからね。

【エミン】そうね。

【パックン】そうすると、子どもがほしいと思う人が安心して子どもが持てるためには何が必要だと思いますか。

【エミン】子どもをつくる前に相手を見つけないと(笑)。日本では結婚せずに子どもをつくる人は多くないから。そもそも論として、結婚しやすくする必要があるんじゃないかな。

【パックン】地方へ行くと、農家の男性と都市部の女性のお見合い会のような取り組みもありますよね。

【エミン】ほんと?

【パックン】私も司会をしたことがある(笑)。だから、頑張っている自治体もあるんです。相手が見つかったとして、経済的にはどんな準備をすればいいと思いますか。