子どもをつくるのは経済的に合理的ではない
【エミン】根源的な理由は経済的な面以外になることを認識しないといけないね。
【パックン】合理的な考え方をした場合、たとえば子どもを育てるのに1000万円かかるとして、その1000万円を30年間投資して複利の効果があると4000万円には増えるはずですからね。子どもが親に4000万円分の経済的な貢献をしてくれるかといえば、無理でしょ。
【エミン】ないね(笑)。
【パックン】だから経済面の合理的な判断では、政府から1000万円もらえるくらいでないと、子どもはつくらないほうが得だと思ってしまう。
【エミン】都内で車を持つみたいなものだ。
【パックン】まさに。あるいはゴルフ。子どもを1人、育てるか、ゴルフを趣味にするか。ゴルフが好きな人は生涯で1000万~2000万円はかけているでしょ。
【エミン】かけているね。
【パックン】理由が経済的な面だけではないにしても、政府として持続可能な出生率を目指すのは理解できます。ただ、岸田政権の少子化対策は、あまり異次元感がない。既存の制度の延長線上のものですよ。それでも頑張ってほしいと思いますよ。私もこの国が200年後に残っていてほしいと少し思っているから。出生率が1.26(2022年の合計特殊出生率)のままでは21世紀末までには日本の人口は6000万人くらいに減ってしまう。でも、それはいいんですよ。6000万人でも立派な国は世界にたくさんありますから。トルコは8000万人ぐらいですよね。
【エミン】8000万人ですね。
日本の人口が減り続けるとどうなるか
【パックン】イタリアよりも多い。ただ、6000万人がさらに100年後に3000万人になり、200年後、400年後にいまの東京都の人口くらいしか残らないとすれば、もったいないと思うんですよ。
【エミン】まだそこまではわかりませんけどね。そのときには子どもがロボットみたいになって、子どもを持つ代わりにロボットを2、3人育てるような世界になっているかもしれませんし。でもおっしゃることはわかります。人類は、本能的に数が増えていくようにプログラムされているから。
【パックン】だから心配するのは当然。
【エミン】そう。
【パックン】国としてね。自分の将来、家族の将来は大丈夫だと思っても国としてどうかという問題ですね。
【エミン】なるほどね。
【パックン】一番心配しているのは子どもを持つ人ですよ。私も自分の子どもや孫の将来が心配ですからね。
【エミン】確かに。
【パックン】日本の人口が減り続けるのはどう? 平気ですか。
【エミン】もともと私は、日本の人口は多すぎると思っているからね。小さい島で自給自足もできていないし、資源もないから、人口が減ること自体はある意味当たり前。だって、江戸時代の日本の人口は3000万人程度だから。人口が減れば1人当たりのリソースが増えるので、より豊かに暮らすことができるんじゃないかな。
【パックン】少なくとも住宅事情は楽になる。