トルコのキャリアウーマンのジレンマとは

【パックン】だから、時間がかかると思いますよ。でもいま頑張っている人には時間がない。身体的な時限があるからね。急ぐしかない。極端な話、暮らす国を変える方法もあるんじゃないかな。米国に行くとか。米国はどんな生き方でも許される社会になっていますからね。自分の概念変革を自ら起こす。「私はこういう生き方です」と決めて、それを受け入れてくれる友達と仲良くする。受け入れてくれない人は捨てていいと思いますよ。

【エミン】その通りだと思うよ。

【パックン】トルコで暮らしている親戚は、日本よりも保守的な考え方ではないですか。キャリアウーマンはどうしていますか。

【エミン】日本と同じようなジレンマがありますね。私の母親はずっと教員をしていて、校長先生の期間も長かった。いわゆるキャリアウーマンで3人の子どもを育てたから、大変だったね。

【パックン】どうやって共働きを成立させたのですか。おじいちゃん、おばあちゃんが手伝ってくれたりしたのですか。

【エミン】それもほとんどなかった。子どもは勝手に育っていった感じかな(笑)。

【パックン】学校から帰ってきても家には誰もいない?

日本人はもう少し「わがまま」になったほうがいい

【エミン】そう。母親は夕方に帰ってくるので、疲れていて夕飯も本格的なものはつくれない。大変でしたけど、私たち子どももそれを認識していたから、母親には迷惑をかけないようにしていたかな。でも、できないかと言われれば、できる。

ただ、トルコには残業という概念はないから、日本とは違う部分はありますね。日本も少しはよくなったけれどまだダメだ。私は昔、証券会社に勤めていたけど、残業が多くて家庭を持っている人は、男性でも女性でも生活が成り立たなかった。そもそも論として、みんながより自由な時間を持てるような働き方をつくらないといけないよね。

最近は少し改善されてきたので、今後の改善に期待したいですね。

【パックン】いまの日本で家庭を持つのであれば、少しわがままを言う力が必要だと思いますね。「子どもが待っていますので、この仕事は明日やります」という自己主張をする。同時に妥協する力も必要。出勤の前に母親が子どものお弁当をつくらなければいけないという考え方は捨てていいよ。買ってきたお弁当で十分です。

【エミン】そうね。

【パックン】すべての学校行事に行く必要もないですし。

【エミン】そう、ない。

【パックン】勝手に育っていってもいいよと。

【エミン】そう。子どもは勝手に育つよ(笑)。

【パックン】「勝手に育ってもらう」という気持ちは必要だと思いますね。私も勝手に育った部分は大きいですよ。お母さんは学園祭にも来なかったからね。

【エミン】子どもに手間暇かけすぎている面はあるんじゃないかな。

【パックン】子どもは強いから、わがままを言いながら妥協するというスタンスができたらいいかな。

構成=向山 勇

パトリック・ハーラン(Patrick Harlan)
お笑い芸人

芸名パックン。1970年、米・コロラド州出身。93年、ハーバード大学比較宗教学部卒業。同年来日。福井県で英語教師を務めた後、97年、吉田眞と「パックンマックン」を結成。著書に『逆境力』(SB新書)など。

エミン・ユルマズ(Emin Yurumazu)
エコノミスト

トルコ・イスタンブール出身。2004年に東京大学工学部を卒業。2006年に同大学新領域創成科学研究科修士課程を修了し、生命科学修士を取得。2006年野村證券に入社。2016年から2024年まで複眼経済塾の取締役・塾頭を務めた。2024年にレディーバードキャピタルを設立。著書に『夢をお金で諦めたくないと思ったら 一生使える投資脳のつくり方』(扶桑社)、『世界インフレ時代の経済指標』(かんき出版)、『大インフレ時代! 日本株が強い』(ビジネス社)、『エブリシング・バブルの崩壊』(集英社)『米中新冷戦のはざまで日本経済は必ず浮上する 令和時代に日経平均は30万円になる!』(かや書房)などがある。