ネットのマナー情報を鵜呑みにするのは危険

今はSNSでだれもが情報を発信できる時代になりました。それだけに、ネット上にある情報は玉石混交です。プロがクオリティ・チェックをしたものと、個人的な見解の域を出ない情報とが混ざりあっている状況です。

マナーに関する情報もまったく同じ状況にあります。マナー講師と称する人たちが、自らのYouTubeチャンネルやブログなどで「これが正しいマナーです」と伝えているのですが、そのなかには根拠のない内容や、明らかにそれは違うと言えるものも多々あります。

たとえば名刺交換のしかたで検索してみると「相手の名刺は両手で受けとるのがマナー」と解説しているサイトや動画が上位に紹介されていることもあります。しかも記事の最後には「マナー講師として数々の企業で研修を行っている……」といった経歴も紹介されている。どう見ても、マナーのプロが紹介する正しいマナーだと思ってしまいますよね。

名刺交換
写真=iStock.com/mapo
※写真はイメージです

こうしたサイトを参考に、ビジネスの場で実践している人もいると思いますが、残念ながらこの情報だけを鵜呑みにしてしまうと、実際のビジネスシーンでかえって“できない人”と思われてしまう可能性があります。マナーの型を伝えるときに大切なことは、状況設定です。

目の前の専門家よりネット情報を信じる人も

それでは、名刺交換の状況を思い浮かべてみましょう。

ビジネスの現場では複数の人と同時に名刺交換をするケースがほとんどです。その場合、両手で受けとるには、相手が変わるたびに自分の名刺入れをどこかに置くか、ポケットにしまわなければならなくなります。もしその場にいる全員がそのやりかたを実践したら、名刺交換を終わるまでにとんでもない手間と時間がかかってしまいます。これでは効率化どころか、タイム・イズ・マネーのビジネスの世界ではありえません。

とはいえ、現代は、ネットで検索して調べればその答えがわかるとされ、ネット上の情報を教科書のように信じている傾向が強いわけです。そこに書かれてあることをそのまま盲信してしまう。おそらく私自身も、知らないことを検索して調べたら、そこに書いてあることが正しいと思ってしまうでしょう。

しかし、その道の専門家に言わせると、ネット上の情報が間違っていたということはよくあります。マナー情報もその傾向は否めません。そうして間違ったマナーを正解だと思いこむ人も現にいるわけです。

私たちのような専門家が正しいマナーを伝えても、「ネットではそうは言っていない」「ネットに書いてあるのとは違う」などという理由で、目の前にいるマナー講師が間違ったことを教えているのだ、と騒ぎはじめる――という逆転現象すら起きています。