ジョブ型賃金は不満解消につながるか

実はもう1つの採用手法が流行のジョブ型賃金だ。正確には職務給と呼ぶが、年齢や勤続年数に関係なく、どんな職務を担当しているかという仕事の内容と難易度(職務等級)によって給与が決まる。同じ職務に留まっている限り、25歳と40歳の給与は変わらない。若くても職務スキルが高ければ上位の職務等級に位置づけ、高い報酬を支払うことが可能になる。職務給は中途採用の獲得には有利と言われ、日本企業のジョブ型導入企業の大きな目的の1つは優秀な外部人材の採用にあることは間違いない。

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ただし、ジョブ型賃金制度を導入すれば必ずしも破格の報酬を支払うことができるわけではない。社員間に大きな格差が開いても、それを社員自身が納得できる環境を醸成できるかどうかが鍵を握る。年功賃金が長年にわたり染みついた企業風土に職務給を導入しても制度が定着するまでには時間がかかる。とくに中高年層が多い大企業では反発も発生する。

日本の伝統的大企業は今でも入社年次にこだわる意識が払拭されていない。ジョブ型賃金を導入しても短期的には社内の反発が予想される。問われるのは人事評価の指標が明確であること、それと連動する給与の納得性がある程度得られるようにするための地道な取り組みが不可欠だろう。「脱年功賃金」は言葉で言うほど簡単ではない。当面の間は、別会社での採用や、契約社員など特別枠での採用を続けるしかないだろう。

溝上 憲文(みぞうえ・のりふみ)
人事ジャーナリスト

1958年、鹿児島県生まれ。明治大学卒。月刊誌、週刊誌記者などを経て、独立。経営、人事、雇用、賃金、年金問題を中心テーマとして活躍。著書に『人事部はここを見ている!』など。