本当に結婚したいのか

そこで、一度「私は結婚というものを本当にほしいのか」と真剣に考えてみたんです。周囲は結婚をいいものだ、皆がほしがるものだという前提で話しているけれど、私自身はどう思っているのかなと。その結果、「あんまりほしくないな」という本心の声に気づいてしまいました。

馬渕磨理子さん
撮影=プレジデントオンライン編集部

結婚すれば、周囲からとやかく言われたり肩身が狭かったりといったことからは解放されるでしょう。でも、そうした理由からの結婚は、自分は「いらない」と思っていることがはっきりわかったんです。そこに気づいてからは完全に吹っ切れました。

最近ではもう社会そのものが変わって、結婚しないと肩身が狭いというような雰囲気はかなり薄まっていますね。あの頃焦っていた自分に教えてあげたいです。

振り返ってみると、結婚に関して吹っ切れた時期は、連載を始めて自分の意見を書くようになった時期とぴったり重なっています。私は30代に入ってからようやく自分の本心に気づき、自分らしくいていいんだと思えるようになったのです。そこからは、仕事への取り組み方も人生への向き合い方も大きく変わりました。

内容ではなく「女性」が付きまとうものはへこむ

また、今の社会では、結婚と同じように男女平等に関する意識も変わりつつあります。しかし完全に変わったとは言えず、まだまだ過渡期の段階だなと感じています。

たとえば、私は経済や金融関連の解説をするとき、日経平均や尊敬する先生方の考えをベースに王道の視点でお話ししています。

しかし、「女性アナリスト」という肩書が先走って、専門的な内容の方に耳を傾けてもらえない時期がありました。性別や年齢に対して、バイアスがかかるのも分かります。

でも伝えたい内容があって解説させていただいているのに、表面だけをなぞられる時期はとてもショックが大きかったです。

ですから、どうせなら、すべてをバネにしようと考えるようになりました。自分の言葉が足りなかったのかもしれない、もっと勉強しよう、成長の糧にしていこうと思うようにしたのです。

これを続けているうちに、思わぬ収穫がありました。声をかけてくださる、コメントのレベルが変わってきました。

表面的なことではなく、自分を深めるうえで役立つ言葉をたくさんいただけるようになってきたのです。本当にありがたいなと思います。