真の自立は自分で選択することから
これは、のちのち人のせいにしないためでもあります。
自分の本心を置き去りにしたまま、親や上司、パートナーに言われたからという理由で歩み続けると、後で失敗したり後悔したりしたときに不満を抱えることになりがちです。でも、「自分で決めたことだから」と思えれば、誰を恨むこともなく自ら軌道修正していけるのではないでしょうか。
たとえば服を選ぶのでも、パートナーに喜んでもらうために選んだら、相手が喜ばなかったとき不満に思うことでしょう。それは、自分の幸せを人に委ねてしまっているからです。自分の幸せのために自分で選択した道を進んでいく。こうした姿勢は、女性の真の自立にもつながると思います。
昇進を断った理由
キャリアに関しても同じです。近年は女性を昇進させようとする動きが活発ですが、なかにはマネジメントが苦手な人もいるでしょう。私自身がそうで、かつて昇進の打診を勇気を出してお断りしたことがあります。
せっかくのお話ですし、先々のキャリアを考えると受けたほうがいいのかな、マネジメントが苦手だなんて言っていいのかな、などと散々悩みました。でも、私にはマネジメントよりも専門性を高めていく道のほうが向いている、そのほうが幸せを感じられると思ったのです。
思い切って本心を伝えた結果、すばらしい上司と出会い、自分の専門性を高めることに集中できるようになりました。この選択は、のちのキャリアの礎のひとつになったと思っています。苦手なものは苦手だと伝えること、弱みを隠さないこと。これは今も、私がビジネスや人生においてとても大切にしていることです。
女性にはもっと「自分」を生きてほしい。自分の本心と向き合って、最後は自分が納得するように、自らの人生を築いていっていただけたらと思います。
構成=辻村洋子
京都大学公共政策大学院 修士課程を修了。トレーダーとして法人のファンド運用を担う。その後、金融メディアのシニアアナリストを経て、現在は、一般社団法人日本金融経済研究所 代表理事として企業価値向上の研究を大学と共同研究している。イー・ギャランティ社外取締役。楽待 社外取締役。国会 衆議院 財務金融委員会で参考人として意見陳述し、事業性融資の法案可決に寄与。フジテレビ「LiveNewsα」、読売テレビ「ウェークアップ」レギュラー出演中。