女性の賃金が男性の5割を切るメガバンクも

メガバンク各行も男性育休取得率と女性管理職比率は共に高いが、男女の賃金差は大きい。例えば三菱UFJ銀行の男性育休取得率は90%、女性管理職比率は25.2%であるが、男性の平均年間賃金に対する女性の平均年間賃金の割合は49.6%(全労働者)、正社員の間でも52.7%だった。

三菱UFJフィナンシャル・グループはコース別の賃金格差も公表しており、総合職は65.9%、BS/地域職で91.8%となっている。BS職とはビジネス・スペシャリスト職のことで一般職にあたる。そして「男女賃金格差の主因は、総合職とBS職・地域職(証券)のコース別賃金の差分と、各コースにおける男女比率の相違、女性管理職比率や上位階層に占める女性比率の低さ等にあります」(有価証券報告書)と説明している。

つまり、総合職に男性が多く、BS/地域職に女性が多いが、総合職の賃金水準が高い。BS/地域職に女性管理職も多く、全体の女性管理職比率は高くなるが、結果として男女の賃金格差が大きくなっているということか。

オフィスで働くビジネスウーマン
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各行とも給与体系の一本化へ

今後の方針について三菱UFJフィナンシャル・グループは「2025年度には総合職とBS職のコースの垣根を解消し、『プロフェッショナル職』を新設する予定です。これにより、コース区分等にとらわれず、自律的なキャリア形成を後押してまいります」と言っている(有価証券報告書)。また、みずほフィナンシャルグループも「現在全国転勤有無の区分の違いにより異なっている給与体系を2024年度に一本化する予定です」と述べている(有価証券報告書)。

三菱UFJは人事制度を刷新し、全行員を「プロフェッショナル職」として統一し、能力や専門性を重視した賃金体系に移行する。みずほも転勤区分の違いによる賃金体系を廃止し、行員の担う業務で給与を決定するジョブ型要素の強い「役割給」に一本化する予定だ。