※本稿は、黒川伊保子『夫婦の壁』(小学館新書)の一部を再編集したものです。
子どもが巣立った後、夫との言い争いが絶えない
回答:同じ価値観を共有できるだなんて、夢にも思わないこと
夫の言動に腹が立つことって本当に多いですよね。向こうも実は、同じだけ妻の言動に戸惑っています。なんと、それこそが「夫婦の本質」なんです。
生物はすべからく、自分にない特性の持ち主と子孫を残そうとします。子孫の「免疫」」にバリエーションができるからです。このため、感性が正反対の相手に惚れてしまうわけ。
おしゃべりな人が寡黙な人に惹かれたり、せっかちがおっとりに惹かれたり、大雑把な人が繊細な人に惹かれたり。清廉潔白な人ほど、悪意も棘もある人に惹かれたりね。そんな真逆の相手に、ほんのわずかな共通点があったとき、人は心震えるわけ。
恋人時代は99%合わなくても1つ合うところを見つけられるが…
恋人時代は、100%のうちほとんどが合わない相手に1つ合うところを見つけるから、それをダイヤモンドのように感じます。この人ってよくわからなくてミステリアスだけど、「チャウチャウ犬が好きなのね! 私と一緒だわ!」なんてことがあると、「運命の人」だと思ってしまうものなんです。
行動も好みも一緒な相手だと、そこまでの感動はなし! 人間は価値観や考え方が違うのに、ほんの少し同じところがあるとわかって感動するから恋をするわけなんですね。ところが、夫婦になると合わない99%のほうが気になり出します。
夫婦は「とっさの脳神経回路の使い方」がまったく違うので、行動がすれ違います。正解や正義が違います。このため、お互いに「自分が正しくて、相手が間違ってる」と思うことがほとんどです。