ジャニーズ事務所創業者の故・ジャニー喜多川氏による性加害問題を巡り、「再発防止特別チーム」は8月29日、社長辞任の提言を含む調査報告書を発表。これを受け、同事務所は、9月7日に記者会見を開くと発表した。ジュリー現社長の辞任は正しい責任の取り方といえるのか。芸能人のインタビューを多数手がけてきたライターの村瀬まりもさんが、経営学者の中川功一さんに聞いた――。
ジャニーズ事務所前社長の性加害問題で、記者会見する「外部専門家による再発防止特別チーム」の林真琴座長(中央)=2023年8月29日、東京都中央区
写真=時事通信フォト
ジャニーズ事務所前社長の性加害問題で、記者会見する「外部専門家による再発防止特別チーム」の林眞
「元ジャニーズJr.のヒアリング結果によれば、1970年代前半から性加害が続いており、直近では、2010年代半ばにジャニー氏から性加害を受けたと供述する被害者がいた」
「20歳頃から80歳代半ばまでの間、性加害が間断なく頻繁かつ常習的に繰り返された事実は、ジャニー氏に顕著な性嗜好異常(パラフィリア)が存在していたことを強く裏付けるものである」
「ジャニー氏は、自己の絶対的な立場を利用して、多数のジャニーズJr.に対し、長期間かつ広範に性加害を行ってきたものであり、ジャニー氏による一連の性加害は人権侵害の極みである」

ついに白黒はっきりする瞬間が来た。というか、やはり真っ黒だった。

2023年8月29日、ジャニーズ事務所が元検事長の林眞琴氏ら、外部専門家に委託した再発防止特別チーム(以下、特別チーム)が67ページにも及ぶ調査報告書(以下、報告書)を発表。そこには合計23人の被害者にヒアリングした結果と、前出の記述のように、ジャニー喜多川・前社長による所属タレントへの性加害が長年続いていたのに放置したというジャニーズ事務所の特異な体質がつづられている。

イギリスBBCが性加害問題を取り上げてから約半年。日本の芸能史上に残る最悪の性加害事件の全容が明らかになりつつある。被害者は「少なく見積もっても数百人」に及ぶという。

「肛門性交をされたり、自分からするように求められる」

性加害の実態は、ヒアリング結果を読めば読むほど生々しく、痛々しい。被害者のほとんどは18歳未満で、児童虐待でもある。

「ジャニー氏の自宅で、ズボンを脱がされ、性器を手で触られて口に入れられた(小学6年時)」
「合宿所でマッサージをされて陰部を触られて口腔性交をされた(14歳時)。3回泊まると1回は性加害を受けるという感じであった。翌日、ジャニー氏から3万円を渡されていた。ジャニー氏の肛門に性器を挿入させられたことが1回ある(17歳頃)」
「ジャニーズJr.の間で、『昨日ジャニーにやられていただろう。』などと冗談めかしたり、武勇伝的に話したりしていた。ジャニー氏からホテルの部屋に1時間程度監禁された子がおり、後に性加害を受けたと言っていた」
「ジャニー氏から肛門性交をされたり、ジャニー氏に対して肛門性交をするように求められたりすることもあったと聞いた。また、ジャニー氏の性器に口腔性交をするように求められる者もいたと聞いた。どのようなことをするかで渡される現金が違っており、3万円や5万円をもらった者もいた」