家が狭すぎてどう頑張っても子ども部屋を作れない場合、どうすればいいか。1級建築士のしかまのりこさんは「36m2の団地2DKでも、2人の子どもそれぞれの『パーソナルスペース』を確保する方法がある。模様替えだけなので引っ越しほどお金もかからない」という――。
男子学生のためのデザインされたモダンな部屋
写真=iStock.com/KatarzynaBialasiewicz
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子どもの数だけ子ども部屋があるのが理想だが…

あなたのご自宅に、子どものパーソナルスペースはありますか?

パーソナルスペースとは、心身の安心・安全を守るために作る「個人的な空間」のこと。とくに思春期以降では、このパーソナルスペースをご自宅に作ってあげることが、子どものこころの成長を守るうえで、とても大切になってきます。このパーソナルスペース、子どもの数だけ子ども部屋があれば理想的ですが、間取りに余裕がない場合は「子どものパーソナルスペースをどこに作ろうか?」悩みのタネになります。

たとえば4人家族で都心2DK団地に住むAさん(38歳女性・会社員)のケースをご紹介しましょう。Aさんのご家庭では、2学期に入って間もなく、中学1年生になる長男の担任教師から電話がありました。

「最近、○○君が学校でぼんやりしていることが多く、すこし気になっています。ご自宅でのようすはいかがでしょうか?」

広い部屋に引っ越す金銭的余裕はない

Aさんは担任教師といろいろ話していくうちに、自宅には長男のパーソナルスペースがないこと、狭くてもよいので長男のためのパーソナルスペースを用意する必要があることに気が付きました。しかし、間取りは2DK。どう頑張っても子ども部屋はおろかパーソナルスペースさえも作れそうにありません。引っ越しも考えましたが、引っ越し代金や高騰する家賃相場、さらに、これから重くのしかかる教育費のことも考えると、余計な支出はできません。そこで現在の住まい2DKを模様替えすることで、なんとか子どものパーソナルスペースを作れないかと当事務所にご相談にいらっしゃいました。

【相談者Aさんプロフィール】
・同居家族:夫40歳(会社員)、長男13歳(中学1年生)、長女9歳(小学3年生)
・住居形態:賃貸団地2DK

【相談内容】
・長男のためのパーソナルスペースを作ってあげたい
・いまは家族全員で就寝しているが、夫婦と子どもの寝室を分けたい
・キッチンにパントリーなどの収納を増やしたい
・TVは置かなくてもよいが動画が見たい
・ベランダに洗濯物を干せないので、室内干しできるスペースが必要

それではさっそくAさんのご自宅のようすを見てみましょう。