「投票したい候補者がいない」場合でも選挙に行くべきか

選挙に行かない若者の中には、「投票したい候補者がいない」ということを理由にする人が多い。

大村大次郎『日本の絶望ランキング集』(中公新書ラクレ)
大村大次郎『日本の絶望ランキング集』(中公新書ラクレ)

著者としてもその気持ちは非常によくわかる。与党は利権のしがらみでがんじがらめになっており、野党は頼りなさすぎて危なっかしい。

しかし、だからといって投票に行かなければ、日本の政治レベルは下がっていく。

投票率が低くなると業界団体、宗教団体などの「組織票」の力が大きくなる。そうなると、政治家は、有権者全体のことよりも、業界団体や宗教団体のほうを向いた政治を行うようになる。そういう政治が行き着いた先が、いまの日本だと言えるのだ。

若者の投票率が低ければ、当然、政治は若者のほうを向かなくなる。子育て世代の投票率が3割台となれば、子育て政策がなおざりにされてしまうのが、いまの政治システムなのである。

食指の動かない候補者リストでも、どうにかして自分の意思に近い人を選びだし、一票を投じ、投票率を上昇させれば、政治家も有権者全体のほうを向かざるをえなくなるのだ。

それが日本の将来を明るくするために、われわれがしなければならない第一歩なのである。

大村 大次郎(おおむら・おおじろう)
元国税調査官

1960年生まれ。調査官として国税局に10年間勤務。退職後、出版社勤務などを経て執筆活動を始め、さまざまな媒体に寄稿。100冊以上の著書があり近著に『マスコミが報じない“公然の秘密”』(かや書房)。YouTubeで「大村大次郎チャンネル」配信中。