国立大の職員の大半は管理職でも年収1000万円未満

大学職員のあり方は多種多様であり、一言では括れないと先ほど述べました。大学を設置・運営している法人の種別による違いは特に大きいでしょう。国立、公立、私立で、行う業務の内容や給与・キャリアといった待遇の実態がかなり違うのです。

本書執筆にあたり、多くの現役職員にインタビューを行いました。いくつかの声をご紹介します。

大学内の駐輪場
写真=iStock.com/Omjai
※写真はイメージです
Aさん(首都圏国立大/50代)

・公務員など、公的機関で働くことを望んでいる方が多く、その一つとして結果的に本学が選ばれている。そのため採用時は競争倍率も高いが、辞退率もそれなりに高い。県庁をはじめとする自治体などに受かると、そちらに行くケースが多いように感じている。

・言われたことだけやれば良いという職員も多い。改革意識の高い若者が採用されても、その意欲に応えられる仕事が用意できていない。やる気のない若手、余計な仕事は一切しないという姿勢の若手も残念ながらいる。

・さまざまなことを教員がやってくれる。職員は先生の意見を待ってしまう。

・分担業務が細かく分かれており、よく言えばきちんとしている。裏を返せば手続きが多く、縦割り組織で、業務量は膨らんでいく傾向にある。手続き処理を正確にこなすことが好きな職員が多いように感じる。

・異動官職というシステムがある以上、「これより上のポストには就けない」という想いを多くの職員が持っているように思う。

・給与水準で言えば、国立大職員の大半は管理職でも1000万円に届かない。

・母校愛が強い人が多い。

Bさん(地方私大/40代)

・自分が学んだ母校に貢献したいと考え、職員になった。私大に入職したい人には自分と同じように母校愛、母校を良くしたいという動機の方が多いように感じる。

・企業ではなく大学に勤めている、教育の仕事に関わっているという意識の方が周囲には多い。待遇目当てではなく、教育に関わる志のある方に来てほしい。

・中途採用で入職する方は増えている。他大学で非正規雇用の契約職員をされていた方が、中途採用で専任職員になるケースも多々ある。

・上の世代は、型にはまった仕事の仕方に慣れている、昔ながらの公務員タイプが多いように思う。若い職員たちとは違うところがある。