女性のうつ病リスクは男性の1.6倍
この女性の場合は、本格的な更年期を迎える前にケアをすることで、比較的速やかに改善することができました。とはいえ、近々、本格的な更年期を迎えることになるので、緩やかに閉経へと着地できるように、サポートを続けることになっています。
この女性のように、40代に入ってからメンタル不調を起こす女性は少なくありません。実際に、令和2年に厚生労働省が発表した「患者調査」によると、うつ病・躁うつ病の患者数は、男性66万7000人に対して、女性は105万4000人と、男性のおよそ1.6倍。そして、うつ病を発症するのが最も多い年代は、女性の場合は40代であることがわかっています。
私はこの背景には、長年放置してきた漢方的な「気虚」体質があると考えています。無理が利かなくなってきた年代を迎えて、こうしたメンタル不調が表面に現れてきたということです。
管理職層の知識と理解の違いで結果が真逆になる
女性たちが社会で働くうえで、「生理かキャリアか」の2択にしないためには、社会の理解が必要であると、前回述べました。
その好例が、先のうつ病と診断された女性を私のところへ連れてきた、女性上司です。これまで頑張ってきたスタッフの女性が、疲れ切った様子で「辞めたい」と告げてきたとき、すぐに私のところにその彼女を連れてきてくれました。
その女性上司は、自分自身も40代で子宮筋腫となり、私に相談しながら、心身の苦しみを乗り越えた方でした。その経験から、部下の体と心に何が起こったのか、そして、どうすればそれを改善させられるのかについての知識を持っていました。そのため、部下の女性はキャリアを失うこともなく、再び働き続けることができたのです。
会社としても、20代で手厚く教育し、30代で自主的に活躍できるようになり、40代で経験と能力が成熟する時期になった人材をみすみす失うことになれば、大きな痛手だったはずです。