「検察は警察に配慮し、捏造がなかったようにしたいのでは」

ウエブサイト「Change.Org」では、弁護団の一人、戸舘圭之弁護士が8日から「再審 冤罪袴田事件 検察は有罪立証を撤回して速やかな無罪判決のために審理に協力してください‼」を展開。20日間で約5万筆の署名が集まっている。

「あんなに再審公判まで検察官は時間をかけたのに、まだなにかいりますか? と考えます。早く無罪判決がでますように」
「これ以上、メンツレベルの話で人の一生を壊すのはやめてください」
「検察は社会正義を標榜する資格なし」

撤回を求める声は日に日に増えている。

検察がなぜこれほどまでに無罪になる公算が強いのに訴追を続けるのか。それは検察としてのメンツの問題であろう。それは高裁が、事件の1年2カ月後に見つかった5点の衣類を、第三者がみそタンクに隠した可能性に触れ「捜査機関の者による可能性が極めて高い」と捜査関係者の「捏造」に言及したからだ。

「証拠捏造という言葉に反応したのだと思いますね。検察の警察に対する配慮が見えます。検察が、それをきちんとしないと、警察からの反発が出てくるから。捜査機関の捏造で、批判の矛先が警察に向かうのは絶対に避けたい。どうしても捏造がなかったようにしたい。その一点だけでしょう」(小川弁護士)

90歳の姉・秀子さんは「検察はやるだろうと思っていた」

袴田さんの姉、秀子さん(90歳)も、「捏造指摘の問題が大きいと思う」と言う。

「検察はやるだろうと思っていました。裁判所に捏造を言われ、その可能性を少しでも薄めたいんですよ。なんといっても検察ですからね。でもこちらは、3年経とうが5年経とうが、裁判で勝ち抜いていくだけ。事件から57年。どうってことないよ」

袴田巌さんの姉・秀子さん
筆者撮影
袴田巌さんの姉・秀子さん

秀子さんと筆者は20年近く交流があるが、他人からは絶望的に見えるような場面に出くわしても「なんとかなる」と言って、袴田さんの無実を信じてやってきた。面会を拒絶されても月に1回東京拘置所に通い、お金やボクシング関係の本などの品物を差し入れ続けた。面会拒否にあっても「また会ってくれなかったわ」と笑い、生活費だけを残してすべての収入を袴田さんのためにつぎ込んだ。「帰ってきたら一緒に住む」とビルを建て、そこで待ち続けた。