「ちょいスラ転職」は3方向で検討する

「ちょいスラ転職」では、まず3つの方向を検討します。

3方向とは「業界」と「職種」、そして役職と会社の「ポジション」です。この3つをあなたの今の業界、今の職種、今のポジションから“ちょっとだけ”スライドして転職します。それが「ちょいスラ転職」の極意です。あまり飛び過ぎると適応するまでの壁が高すぎて今後のキャリアにも影響するため、コツは“ちょっとだけ”です。

ここでは「ポジション」について取り扱います。

数字の3
写真=iStock.com/tamaya
※写真はイメージです

転職を機に役職を1つ上げる

まず役職から。役職とは、会社内におけるポジションを明確にするものです。皆さんもご存知の通り、役職が上がるほど年収は高くなり、会社内での責任も大きくなります。役職を細かく分類すると、「プレイヤー」と「管理職」の2つに分かれます。

例)プレイヤー…一般社員、主任、係長、プログラマー、システムエンジニア、プロフェッショナル、スペシャリスト等

管理職…課長、部長、本部長、社長、リーダー、マネジャー、ディレクター、CEO等

森田昇『年収300万円から脱出する「転職の技法」』(日本能率協会マネジメントセンター)
森田昇『年収300万円から脱出する「転職の技法」』(日本能率協会マネジメントセンター)

この「役職のポジションを“ちょっとだけ”スライドする」とは、転職を機に役職を1つ上げることです。役職は「業界×職種」で決定される年収の大枠内での位置を決めてくれる「能力」の証明ですから、これをスライドすれば「同業界同職種」への転職でも年収はアップします。私は「同業界同職種」で親会社を経由してプログラマー⇒システムエンジニアへと転籍後、年収が100万円アップしました(4社目⇒5社目⇒6社目)。2つ以上は飛び過ぎるので1つでいいです。業界も変わらず、エンジニアという大枠の職種も変わらないのに年収アップ、いいですよね。

ただ、前述の3つの軸ずらしと比較すると年収アップはそれほどでもないですし、もしプレイヤーだったあなたが、新しい職場環境の中で未経験のうちに管理職になってしまったなら、想像以上に大変です。管理職1年目でマネジメントの右も左もわからない状態なのに、これまで一緒に働いたことがない人たちを率いるのはハードルが高いからです。

役職はプレイヤーと管理職で分かれていますから、プレイヤーの中で役職を上げるか、管理職として役職を上げるかなら、そこまで差異はないので負担は少ないでしょう。このように、年収アップの度合いで役職のポジションを1つ、“ちょっとだけ”スライドするのを考慮してみてください。

森田 昇(もりた・のぼる)
キャリアコンサルタント、中小企業診断士

一般社団法人リベラルコンサルティング協議会代表理事、あさみコンサルティングファーム代表取締役、ProsWork取締役、S取締役。1998年、大学卒業後、IT企業に入社。サラリーマン生活20年間で10回の転職を経験し年収300万円からの脱出を果たす。この転職法を紹介した再就職支援セミナーをハローワークで100回以上開催、2000人の転職と再就職の支援をする。著書に『売れる!スモールビジネスの成功戦略』(明日香出版社)がある。