頭を柔らかくし気持ちを若返らせられる
他にも、いろんなチャンネルがあります。
ずまさんという歌の名人がいて、とにかくうまい。いろんな人の曲をずまさんなりに歌うのですが、それを聞くと、どんな曲でも入り込みやすいので大好きです。
たまたま、お会いする機会があり、上手に歌うコツを聞いてみました。
息をあまり出さないで歌うようにしているそうです。ロウソクの炎を目の前に置いても揺らさないで歌えると。
演歌や浪曲の人たちが、そうやって訓練するそうです。私たちはつい高音や声を張るときに息も一緒に吐いてしまいますが、違うんですね。
YouTubeでは、そんな市井の隠れた名人たちがたくさんチャンネルを持っています。玉石混交ではありますが、表の情報だけでは知り得ない、お宝に巡り合える場でもあります。
世の中にはこれだけタレント(才能)が揃っているんだ。世に出ている人は本当に一握りで、実はもっと上の人がいるのかもしれない。そんな気がしてきます。するとマスメディアの情報を、これまで以上に相対化して見ることができる。そんな効果もあると思います。
私は子どもたちに対しては、YouTubeばかり見ないで、本を読むように勧めます。バランスが取れないからです。
しかし、60代以上の人には、逆にYouTubeも勧めます。頭を柔らかくし気持ちを若返らせるのに良いからです。
結局、本の著者というのは、それなりに知識があり、肩書がある人物が多いですよね。勉強には良いのですが、この世の中はもっと広大でいろんな人がいます。学者や経営者らが到底知らない世界があるわけです。
埋もれて世に出ない才能やキャラクターがいます。地上波では流せない裏の世界の話もあれば、先ほどの両親の殺害現場に居合わせた人のような深刻な人生もあります。マスメディアだけ見ていたのでは知ることができない世界が、これだけある。
一通りの経験をしてある程度の鑑識眼を持った60代以上にこそ、YouTubeなどは、この世の妙味と奥深さを味わう貴重なツールとなると思います。
刺激をくれる仲間たちとの関係
60過ぎからの人生を彩るものとして、仲間との関係があります。
ブッダは愚かな人とは付き合うなと言いますが、一方で「善い友と交われ。尊い人と交われ」(『真理のことば』78)と言っています。
知的に刺激を与えてくれる知恵ある仲間たちは、貴重な宝となるはずです。これまではビジネス関係の付き合いが多かったかもしれませんが、これからはもっと幅広い分野の人たちと付き合うことができます。