「今、ここ」にフォーカスする

転職で実現したい最優先事項、それが転職の目的です。年収アップ以外にも転職で得たいものがあるはずです。「年収が100万円アップした」「誰もが知っている有名企業に入れた」という結果だけで転職が成功したとは言えません。自分で考えた転職の目的に沿った判断をすべきです。

転職することで何を得たいのか。その目的を定めるコツは、過去の出来事や未来の希望よりも「今、ここ」にフォーカスすることです。

「今の会社の年収よりアップさせたい」
「今の会社の仕事より面白いことをしたい」
「今の会社の人間関係をリセットしたい」

といった「今、ここ」を基準に考えましょう。昔はこうだったのに、等と過去とは比較せずに、今の状態と比較してください。また、この先の人生はこうしたい、こうありたい、等と未来を見据えるのも大事ですが、それよりも今の状況から脱出することを優先してください。年収300万円からの脱出を。

事前準備の段階では、過去との関係性や未来への道筋を考える必要はありません。応募書類の作成、もしくは面接時に紐づければいいので、今どう感じているのか、何を変えたいのか、年収300万円から脱出したいのか、を優先してください。変えるのは「今、ここ」です。

昨日、今、明日、そして今、木製のブロックに焦点を当てることがコンセプトです
写真=iStock.com/Hwangdaesung
※写真はイメージです

悩んだ時に参考にすべき3つの選択肢

「今の状況を変えたいけど、もやもやするばかりで具体的に考えられない」「まとまらない」「なりたい将来も分からない」よく聞くセリフです。私もそうでした。悩みを言語化できず、自分の本当の気持ちが理解できない。そんな昔の私と同じだという人は、次の3択を参考にしてください。

森田昇『年収300万円から脱出する「転職の技法」』(日本能率協会マネジメントセンター)
森田昇『年収300万円から脱出する「転職の技法」』(日本能率協会マネジメントセンター)

1.年収アップ(①年収アップ、②有名企業への入社、その結果の③職場の温かい雰囲気と心地良い対人関係)。
2.やりたくてできる仕事(⑥やりがいがあるチャレンジングな仕事、⑧圧倒的なスキル、その結果の⑨管理職・マネジャー経験)。
3.待遇の改善(④フレックスタイムや裁量労働制等の時間的自由、⑤テレワークでの空間的自由、その結果の⑦ワークライフバランス)。

この中から今まさに最優先で改善したいポイントを選びましょう。それがあなたの転職の目的になります。

それでも悩む人は「1.年収アップ」を最優先にしてください。年収アップにこだわることで、実は残り2つも自然と手に入ります。年収アップのためには「3.待遇の改善」が必要となりますし、自ずと「2.やりたくてできる仕事」じゃないと理想の待遇を得られる企業からの内定は得られません。最優先はやはり「年収アップ」です。

森田 昇(もりた・のぼる)
キャリアコンサルタント、中小企業診断士

一般社団法人リベラルコンサルティング協議会代表理事、あさみコンサルティングファーム代表取締役、ProsWork取締役、S取締役。1998年、大学卒業後、IT企業に入社。サラリーマン生活20年間で10回の転職を経験し年収300万円からの脱出を果たす。この転職法を紹介した再就職支援セミナーをハローワークで100回以上開催、2000人の転職と再就職の支援をする。著書に『売れる!スモールビジネスの成功戦略』(明日香出版社)がある。