ポジティブな目標や志望動機に展開する

転職理由を聞かれたとき「人間関係」だけで話を終わらせないようにしましょう。

人間関係はあくまで転職を考え始めた「きっかけ」にすぎず、真剣に今後のキャリアを描いた結果、やりたいことや目指すことが見えてきた。それを実現できる求人を探したところ、その会社に出合った――そんなストーリーを展開すると、ポジティブな印象を与えることができます。

ストーリー展開の一例を挙げてみましょう。

上司の考え方に共感できず、異議を唱えたら怒りを買ってしまい、重要な仕事を任されなくなりました。話し合いを試みましたが、取り合ってもらえない状況です。それをきっかけに転職を考え始め、改めて自分がやりたいこと、仕事で大切にしたいことを見つめ直した結果、「チームワークを強くすることでお客様への満足度を高める」働き方を目指したいと考えました。御社では部署・職種間の連携やコミュニケーションが活発とお見受けしましたので、私が望む働き方を実現できるのではないかと思い、志望しました。

このように、人間関係の問題はさらっと触れる程度にとどめ、やりたいことや目標、キャリアプランなどの話を重点的に伝えるといいでしょう。

転職に踏み切る前に

先ほど、「人間関係」を転職理由に挙げると、「あなたの方に非があったのでは」と思われる可能性があることをお伝えしました。

これは、実際にそうであることも少なくないと感じます。

私が転職相談者の方とお話ししていて、「人間関係への不満」を深掘りしてお聞きすると、ご本人が人間関係を構築する努力をしていないケースも見られます。

コロナ禍以降多いのは、「出社」と「リモートワーク」を自分で選べる状況で、出社をまったくしないケース。対面コミュニケーションを積極的にとらず、しかも、オンラインコミュニケーションツール(チャットツールの雑談スレッドなど)の活用もせず……では、メンバーとの心の距離も離れ、ぎくしゃくした雰囲気に不満を感じるのも当然でしょう。

また、上司から話しかけてくるのを「待つ」ばかりで、話しかけてもらえないと「適切なマネジメントを受けていない」「コミュニケーションが足りず、自分を理解してもらえない」と嘆く方もいらっしゃいます。

しかし、会社からの指示や上司からの働きかけがなくても、自ら動いてコミュニケーションの機会を増やすことは重要だと思います。

参加自由な会社のイベントも同様です。飲み会やバーベキューパーティーなど、面倒に感じて避ける方も多いようです。

しかし、実際に参加してみると、普段の仕事では見ることのない上司や同僚の素顔に触れ、新たな発見もあります。仕事で接点のない他部署の人と話し、思いがけず意気投合することも。

楽しいかどうかは別にして、業務をより円滑に進めるためにも、そうしたオフの機会も活用して人間関係を築くことをお勧めします。

ビールで乾杯
写真=iStock.com/bee32
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