反省を踏まえ、腹を据えて働く覚悟を伝える

転職回数が多い

実際どれくらいだと多いのか? と、よく私は質問されます。

中谷充宏『20代~30代前半のための 転職「面接」受かる答え方』(秀和システム)
中谷充宏『20代~30代前半のための 転職「面接」受かる答え方』(秀和システム)

職種や業界によって違いますが、若手ならおおむね3回以上なら多いと捉えてください。

上司からのパワハラがひどくて、同期入社も半年で皆辞めたなど、退職理由が自分のわがままに起因するものでなくても、やはり回数の多さを高評価とする面接官は皆無です。

こういう場合、非常に悔しい気持ちは分かりますが、ここは伝え方を工夫しないといけません。

「転職回数が多いですね?」と言われて、「いや、多いとは思っていない」と事実誤認の反駁をしたり、「多いかもしれないが、環境適応能力が身についている」と無理やり売りにつなげるのはNGです。

転職を繰り返してきたのは、すでに過去の話であることは、面接官も理解しています。

だからこそ面接官は、過去をしっかり振り返り、簡潔に自分なりの弁明を述べる応募者から、若手らしい真摯しんしさ、誠実さ、潔さを感じ取りたいと思っています。

反省を踏まえた上で、心新たに御社で腹を据えて働く覚悟、たとえば、「こうした面接のチャンスを頂いた御社で、きちんと定着して安定して働きたい」といった熱い思いを語ってください。

自責の場合は決意を語る

直近の勤続年数が短い

一般的に在職3年以内なら、この「短い」に該当すると考えてください。

ここは自責と他責の2つのパターンがあります。

自責は、自らの意思で短期離職した場合が典型的です。どのような事情があったにせよ転職には不利に働きます。「最近すぐ辞めた人」を、わざわざ採用する動機がありません。

一方、他責の場合、会社都合、たとえば倒産や事業所の廃止・縮小による短期離職であれば、その事情をきちんと伝えれば良く、そうすれば不利には働きません。負い目に感じず、毅然きぜんと語って下さい。

さて自責の場合、「実は前職の上司に問題があって~」「入社前の説明と大きく違って、実際はこのようなひどい状態で~」と、くわしく説明したとしても、面接官は「あなた自身にまったく問題はなかったのか?」と疑っています。

なので、「会社と私のベクトルが違うのが分かったので、決断は早い方が良いと考えた」と、経緯や理由に触れつつ、「短期離職は自分も望んでいない。次は長く定着して働きたい」という決意を語っておきましょう。

中谷 充宏(なかや・みつひろ)
キャリアカウンセラー(キャリアコンサルタント)、社会保険労務士

同志社大学法学部法律学科卒。新卒入社したNTT(日本電信電話株式会社)勤務後、1社転職を経て2004年にキャリアカウンセラーとして独立。マンツーマンで依頼者の転職を支援する「就職&転職のパーソナルキャリアコーチ」。米国MBAホルダーや代表取締役といったエグゼクティブ層から、転職回数が多い等のハンデを背負った層まで、幅広い方々の転職支援の実績がある。また社会保険労務士として人事採用コンサルティングの経験も豊富で、人事部長として企業人事を一任されるケースもあり、生々しい採用現場や面接シーンも熟知。 著書に『20代~30代前半のための転職「面接」受かる答え方』、『30代後半~40代のための 転職「書類」受かる書き方』『30代後半~40代のための 転職「面接」受かる答え方』『20代~30代前半のための転職「書類」受かる書き方』(秀和システム)等多数。M&Nコンサルティング