性交同意年齢が引き上げられる
性交同意年齢では、これまで、被害者が13歳以上の場合、暴行や脅迫等の要件を満たしていないと、罪には問えませんでした。しかし、性的行為に同意するためには、「それがどのような行為か分かっている(行為の性的な意味を認識する能力)」「その行為が、自分の心身にどのような影響を及ぼすのか、時間的展望を持って理解している(行為が自己に及ぼす影響を理解する能力)」、そして「性的行為に向けた相手方からの働きかけに的確に対処する能力」が必要です。
それを踏まえて、現在の改正案では、13歳以上16歳未満の子どもに対し、5歳以上年の離れた人が性的行為を行った場合には、子どもは上記の能力を満たすとは考えられず、子どもの同意があってもなくても、罪となるとされています。5歳差の要件はどうか、など、さまざまな意見はまだありますが、現状、この改正案となっています。
また、未成年の子どもたちは、自分の身に起きたことが被害だと気が付くことも、それを誰かに相談することも難しい場合が多く、被害を受けてから18歳になるまでの期間を、公訴時効に加算するという改正案も出ています。改正案では時効自体も延長されているため、15歳の子どもが、現在の法律でいう強制性交等罪を届け出たい場合には、33歳まで可能だということになります。犯罪として起訴されるためには証拠が必要にはなりますが、少なくとも、届け出ることはできるようになります。
「性的グルーミング」が罪になる
そして、性的面会要求罪(いわゆる性的グルーミング罪)です。これは、わいせつの目的で、16歳未満の子どもに、だましたり、お金を渡す約束をしたりして会う約束をした場合に、罪に該当するというものです。また、子どもに、子ども自身のお尻や胸など裸を撮影させて送らせる、いわゆる自画撮りも、新しい罪に入っています。この文章でご紹介した性的グルーミングの中の、一部分とはなりますが、子どもたちが被害に遭う前に何とか事前に防ぎたいという思いが、この罪には含まれています。