ChatGPTが役立つ3つのメールパターン

ChatGPTが得意なのは、スピーチ原稿を書いたり、メルマガのタイトルをつけたり、抽象度の高い文章の作成やアイデア出し、要約などです。

もともとアポイントメントをとる、苦言を呈するなど、具体的な用件を書く必要のあるメールとは、それほど相性がよいわけではありません。ただしメールでも、そういったChatGPTの特性を生かして使えるケースがあります。そのケースは、次の3つです。

ナンバー3
写真=iStock.com/tamaya
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①お祝いやいたわりを伝えるとき

たとえば政治家に選挙で当選したお祝いを伝えたいとき、あるいはケガをした相手にいたわりを伝えたいときなど、特に論点がなく、抽象度が高いメールはChatGPT向き。お祝いやいたわりの気持ちが伝わればよいわけですから、ChatGPTの文章をアレンジすれば確かに使えます。たたき台レベルとしては、ちょうどよいでしょう。

②相談業務を行うとき

コンサル業の人がクライアントから「社員が遅刻して困るんです。どうしたらいいですか」という相談を受けたら、そのアイデア出しをChatGPTに求めます。そして出てきた答えをリライトしてメールで返しましょう。もちろん、それが相手の求めている回答かどうか吟味する必要はありますが、相談業務で大量にメールが届く人は、ChatGPTをうまく使うと、メール対応の数をこなせるようになるでしょう。

③読者のメッセージにコメントするとき

私にもよくありますが、メールマガジンの読者などからメッセージや感想が届いて、何か返事をしなくてはいけない場合。「以下のメッセージに対して、Facebookからいい感じで返事をしたい。無難な感じでお願いします」とChatGPTにオーダーすると、「!」や絵文字を駆使して、本当に無難で好感の持てる文章を返してきます。これもたたき台として使えます。

ChatGPTは特に目的のないもの、どう返したらいいかわからないものに対して、実にうまい返し方を教えてくれます。こういうことに日々悩まされている人は、すごく楽になるでしょう。

100点満点の答えは出てこない

結局、ChatGPTをメールで活用するときは、まず正しいメールの書き方を学び、間違えや違和感を見極める目を持つこと。そのうえで自分の持っていない切り口や表現、アイデアを見つけるためのアシスタントとして活用する。あくまでも100点満点の答えは出てこないから、出てきたものを微調整しながら使っていく。

このプロセスを踏めば、メール作成もメール対応もうまくいくはず。仕事の効率もアップするでしょう。

繰り返すようですが、ChatGPTは確率的に出現の可能性が高いものを予測して出力するため、出てくるものは“ザ・無難”な文章。メールは相手あってのことなので、ChatGPTで完結するものではないということは忘れないでほしいと思います。

平野 友朗(ひらの・ともあき)
日本ビジネスメール協会代表理事、アイ・コミュニケーション代表

実践塾シェアクラブ主宰。ビジネスメールスキルの標準化を目指し、日本初のビジネスメール教育事業を立ち上げる。2013年、一般社団法人日本ビジネスメール協会を設立。認定講師を養成し、ビジネスメールの教育者を日本全国に送り出している。さらに「ビジネスメール実務検定試験」を立ち上げ、ビジネスメール教育の普及に尽力している。著書に『仕事が速い人はどんなメールを書いているのか』(文響社)、『なぜかうまくいく人の頭のいい時間割』(三笠書房)、『イラッとされないビジネスメール 正解 不正解』(サンクチュアリ出版)などがある。