「プロテイン」の恐ろしいリスク

昨今は、健康意識の高まりから「たんぱく質は、プロテインで補っている」という人も多い様子。プロテインは補助食としては便利ですが、過剰摂取は腎臓に負担をかけるため、頼りすぎるのは少々危険です。

肉や魚などのたんぱく質食材には、たんぱく質以外のビタミンやミネラルも含まれているので、基本は日々の食事から摂りましょう。たんぱく質は、炭水化物、脂質とともに三大栄養素の一つで、筋肉や血液、肌、髪、臓器、酵素、ホルモンなどの材料となり、人間の体そのものを作る重要なものです。

さらにエネルギー源としての役割も果たす万能な栄養素。たんぱく質不足が続けば、筋肉が衰えて体力や免疫機能、代謝の低下などのさまざまな悪影響が出てしまうのです。

とくに食が細りがちな高齢者はたんぱく質が不足しやすく、フレイル(病気ではないが年齢とともに、筋力や心身の活力が低下し、介護が必要になりやすい、健康と要介護の間の虚弱な状態)のリスクも高まるため、意識的に摂る必要があります。

若々しい肌もたんぱく質から

厚生労働省によるたんぱく質の1日摂取量の目安は、最低でも女性50g、男性60gが推奨されています。とはいえ1食あたり20gとなると、忙しい朝などは、意識しないとなかなか届きません。ハム、チーズ、卵、納豆、牛乳など、手軽な食材をうまく組み合わせて。

じつは、朝のたんぱく質はメリットだらけ。たんぱく質は食事をした後に発する熱=食事誘発性熱産生(DIT)が高いため、朝から体温が上がって1日の代謝量がアップします。また、たんぱく質は「幸せホルモン」と呼ばれるセロトニンの材料になり、メンタルや自律神経のバランスを整えてくれます。さらにセロトニンは、夜には「睡眠ホルモン」のメラトニンにも変換されるので、睡眠の質も高めてくれます。

あわせて朝は、日の光も浴びましょう。体内時計がリセットされる上に、日光を浴びるとセロトニンの分泌が促進されます。注意したいのは、たんぱく質と脂質はたいていセットだということ。肉や乳製品に偏りすぎず、脂質の少ない肉や魚、大豆製品を選ぶのも選択のコツです。

道江 美貴子(みちえ・みきこ)
あすけん管理栄養士

女子栄養大学栄養学部卒業後、大手フードサービス企業に入社。100社以上の企業で健康アドバイザーを務めた後、2007年、新規事業の立ち上げメンバーとして株式会社askenに参画し、以後『あすけん』の企画・コンテンツ制作・開発管理などに携わる。現在、株式会社asken取締役としてあすけん事業統括責任者を務める。著書『なぜあの人は、夜中にラーメン食べても太らないのか?』(クロスメディア・パブリッシング)など。

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