同じような顔ぶれの候補者では選ぶ気が起きない
大企業では意思決定の場に女性が増えつつあります。この変化は、やがて政治の世界にも波及してくるでしょう。本来なら国民が直接候補者を選ぶ政治の世界のほうが変えやすいはずなのに、残念なことに日本では政治のほうが企業に後れを取っています。
これは結局、皆が政治をあきらめているからなのかもしれません。現在の男性政治の下では、政党が出してくる候補者はいつだって同じような顔ぶれで、選ぶ気が失せている人もいるでしょう。レストランだって、いつも似たような数種類のメニューしかなければ選ぶ気が失せますよね。むしろ、投票用紙に候補者の名前を書くときより、レストランで注文するときのほうが時間をかけて吟味しているかもしれない。政党には「もっと私たちが食べたくなるメニューをつくってくれ」と言いたいです。
多様性のある政治をつくるには女性議員の増加が不可欠です。そのためには、なり手と支え手に加えて投票者の力も重要になります。有権者の方々には、どうか熱意を持って候補者を選んでいただきたいですね。そして、少しでも多くの方に「自分が選んだ議員が生活を変えてくれた」という体験をしてほしいと思います。
構成=ライター 辻村洋子
専攻は現代日本政治論、ジェンダーと政治。1967年東京都生まれ。慶應義塾大学卒業。カリフォルニア大学バークレー校大学院修了。政治学の博士号を取得。2021年、フランス政府より国家功労勲章シュバリエ受章。著書に『私たちの声を議会へ 代表制民主主義の再生』(岩波書店)、編書に『日本の女性議員 どうすれば増えるのか』(朝日新聞出版)などがある