日本のメガ銀行株は買い
欧米の金融不安をきっかけに日本の銀行株も急落しましたが、私は三菱UFJフィナンシャル・グループ(以下、三菱UFJと表記)などメガ銀行株について、買い判断を継続しています。
欧米の金融不安が、日本の銀行にとって対岸の火事と考えているわけではありません。リーマンショックの時と同様、直接的なマイナス影響は大きくありませんが、間接的には大きなマイナス影響を受けます。ただし、そのマイナス影響を勘案してもなお三菱UFJの株価は割安で、長期的な投資魅力は高いと判断しています。
メガバンク買いの理由【1】リーマンショックの影響レビュー
リーマンショックの時、欧米の金融機関が多数破綻しましたが、日本の金融機関への影響は大きくありませんでした。欧米の金融機関が破綻する原因となった北米住宅ローン債権に投資していた銀行は、日本にもあって損失は発生しましたが、日本の金融システム全体への影響は限定的でした。
日本の金融機関は、1990年代に深刻な金融危機を経験し、やっとそこから抜け出した後でしたから、財務的なリスクを拡大することに慎重でした。米国の住宅ローン債権に投資してしまった銀行があったのは、米国の格付機関がトリプルAなどの誤った格付をつけていたためです。信用リスクを取ることに慎重だったので、致命的なダメージを受けた金融機関はほとんどありませんでした。
ただし、リーマンショックを契機に、世界中の中央銀行が大規模な量的緩和を打ち出し、世界的に金利低下が進んだことで、日本の銀行も間接的に大きなマイナス影響を受けました。それに2014年に始まった黒田日銀の異次元緩和が追い打ちをかけました。日本の長期金利はゼロ近辺に沈み、国内商業銀行の預貸金利ザヤを圧迫しました。国内商業銀行業務の比率が高い、国内金融機関の多くが収益にダメージを受けました。
三菱UFJは、海外ビジネスや、投資銀行業務への多角化を進めることで、純利益8000億円から1兆円の高収益を維持してきました。ただし、リーマンショック以降、株価は長期にわたり低迷が続いてきました。低金利が収益にダメージを与える懸念が続いていたからです。