次世代の皇位継承資格者は悠仁さまだけ
上皇陛下のご退位を可能にした皇室典範特例法が成立した時の附帯決議には、政府が「安定的な皇位継承を確保するための諸課題」について「速やかに検討を行い」、「速やかに国会に報告する」ように求めていた。その報告が昨年1月にまで遅れたのも問題ながら、その報告を受けた国会が“速やかに”「立法府の総意」をまとめるべきなのに、これまでほとんど放置してきた態度も異常と言わねばならない。
現在の皇室典範では、内親王・女王方はご結婚とともに皇族の身分を離れられる(次の世代を生み出せないご独身でしか皇室にとどまれない)。もちろん養子縁組も禁止されている。皇室は先細りして、いずれ自然消滅を避けられない局面にまで行き着くことになる。天皇陛下の次の世代の皇位継承資格者は秋篠宮家のご長男、悠仁親王殿下ただお1方のみという危うさだ。畏れ多いが、このような状態では悠仁殿下のご結婚も至難となろう。
問題の焦点は、皇室が直面する危機をどう乗り越えるかにある。そのことがどれだけ真剣に自覚されているのか。
政府は解決策がわかっている
これまで、政府は問題解決の「先送り」を繰り返し、国会も無為無策を続けてきた。これはなぜか。少なくとも政府については、おそらくこの問題の本当の解決策が1つしかないことを知っていながら、それに着手した時に、政界の内外から多数ではないが強硬な反発が予想され、それに臆しているためではないだろうか。
その解決策とは、すでに小泉純一郎内閣の時に設けられた「皇室典範に関する有識者会議」の報告書に示されている(平成17年[2005年]11月24日。この時は私もヒアリングに応じ、報告書の結論は私の提言とほぼ重なる)。
この方向性に即して、皇室典範を具体的にどのように改正すべきか。この点については、すでに私自身が国会議員や法律家、立法事務の専門家などの協力も得て、全体にわたる条文案を公表している(拙著『「女性天皇」の成立』第5章)。
ここでは、その第1条の条文案のみを掲げておく。
皇位は、皇統に属する子孫が、これを継承する。