反ワクチンのような意見の偏りも残っている
第二に、コメント欄が大きく偏ることが多い点だ。争点のあるような記事について、どちらか片方の意見が優先的に表示されてしまっているのをよく見る。
記憶に新しいのが反ワクチン的なコメントだ。コロナワクチンに関する記事の多くで、上位の目につきやすいコメントが反ワクチン一色となっていたことが少なくなかった。しかしそのような記事であっても、コメント欄の下の方にスクロールすると、実はワクチンを肯定するようなコメントも多く存在していた。
ワクチン接種率を考えれば、これは奇妙な現象だ。もちろん反ワクチン的なコメントが存在することは良いと思うのだが、同時にワクチンを肯定するようなコメントも優先的に表示されなければ、多様な考えを学ぶ場とはならない。
Amazonレビューのような両論表記はありか
期待されるのは、争点のあるような記事について、コメント欄の上位に両意見が優先的に表示されるような仕組みの開発だ。例えばAmazonであれば、全てのレビューを参照すると、「上位の肯定的レビュー」と「上位の批判的レビュー」を見ることができる。即座に両論を見ることができるわけだ。
これら2つの点に関する対策は容易ではない。誹謗中傷については、人間の目で確認できる量をはるかに超えて毎日コメントが投稿されている中で、適切に、確実に削除していく難易度は高いだろう。また両論併記についても、ユーザが点数をつける通販サイトと異なり、一朝一夕にAIを作ることはできないだろう。