投稿停止措置を受けるIDは驚くほど激減

実際の効果は、筆者が考える以上だった。Yahoo! JAPANのリリースによると、施策後には新たに投稿停止措置を受けるような悪質なID数が56%も減少したようだ。また、不適切なコメントを投稿しようとして投稿者に警告が表示される回数も、22%減少した。

誹謗中傷は線引きが難しく、対策が困難であるとされてきた。法律で強い規制をすれば、法の拡大解釈によって示威的に運用される可能性もあり、表現の萎縮が懸念される。そのため、企業の自主的な対応が大いに期待される分野であるわけだが、1つの施策でこれほどの効果を生み出すのは他に類を見ない。

Yahoo! JAPANには今後、さらなる透明性の確保のために、全体のコメント投稿数、不適切な投稿数、不適切な投稿を繰り返すアカウント数、などがどのように変化したのか、より中長期的な詳しいデータの公開が求められる。同時に、ポジティブな効果が大きいことが明らかになったため、他の企業にも波及していくことが期待される。

誹謗中傷はなくならない

一方、今回の措置で全ての問題が解決するかといえば、もちろんそのようなことはない。問題は大きく分けて2つある。

第一に、依然として誹謗中傷コメントは少なくない点だ。残念ながらコメント欄を見ると、未だに誹謗中傷コメントが散見される。

もちろん明らかに問題のあるワードを含む投稿はAIが自動的に削除しているだろうが、自動削除を強くしすぎると、正当な批判や一般的な投稿まで削除する可能性があり、そのような対策は中々講じにくい。その結果、文章全体でみると誹謗中傷と考えられるような内容がまだまだ残っているという現実がある。