「転勤不要」議論はあるが、必要と考える会社も

全体的には、転勤を取り巻く状況は変化しつつあります。新型コロナ対策でテレワークが広まり、どこでも仕事ができる、ひいては転勤も不要ではないかという議論が出てきています。しかし、もともと転勤が多い会社ほど今後も転勤が必要だと考える傾向があって、すべての会社が転勤をなくそう、減らそうとするわけではなさそうです。

一方で、ワークライフバランス重視の流れは明確です。会社は共働き、子供の教育、親の介護などをはじめとする個人事情への配慮を強めていく傾向です。総合職であっても、個人希望で転勤の有無を選択できる制度を導入する会社やテレワークを定着させる会社は増えていきそうです。

社内公募に手を挙げてみたい

Q:異動が多い事業部もありますが、私のところは異動が少なく、入社10年目ですが部内異動経験しかありません。全社的な社内公募制度とフリーエージェント制度ができたので、新規事業部門の募集に応募するか、フリーエージェントで手を挙げてみようかと思っています。まったく新しい仕事に挑戦したい気持ちがあります。(30代前半)

A:異動が多い事業部と少ない事業部があるということは、各部門に人事権がある会社だということでしょう。人事部が主導権を持って一般社員層の全社横断的ローテーションを行うタイプの会社ではなさそうです。あなたの所属する事業部は「異動が少ない」ということは、きちんと自分の役割を果たしている人は、引き続き現在の仕事で貢献してほしいと考えている組織だと思われます。組織改編や昇進昇格などがなければ、今の部署での仕事を長く続ける可能性が高そうです。

あなたは入社10年目で、これまで他部門異動経験がないというわけですね。もちろん他部門異動経験がないとダメだということではありません。もし、これまでずっと同じ部署で働いていたとしたら、少なくとも3年に一度くらい、すなわち、10年目なら新入社員の時から3段階ほどグッとレベルが上がったという成長実感があるでしょうか? そうであれば、これまでのところはまずまずです。

しかし、成長実感が1段階や2段階くらいだという場合は、少々問題かもしれません。また、3段階の成長実感がある場合でも、今後も同じように成長実感を得られそうかどうかを客観的に検討してみる必要がありそうです。