退職給付制度あれこれ

定年を前にした会社員なら誰もが期待する「退職金」。

日本ではどのような制度が多く採用されているのでしょうか。

「退職金」や「企業年金」は、会社によっていろいろなバリエーションがあります。

大江加代『役所や会社は教えてくれない! 定年と年金』(ART NEXT)
大江加代『役所や会社は教えてくれない! 定年と年金 3つの年金と退職金を最大限に受け取る方法』(ART NEXT)

しかし、多くの人は「退職金といえば一括でドーンともらえるもの」というイメージを持っているのではないでしょうか。それもそのはず。実は、2018年の「就労条件総合調査」(厚生労働省)によると、退職給付制度がある会社のうち、およそ7割が退職一時金制度を採用しているのです。企業年金制度のみという会社は8.6%しかありません。なかには、一時金と年金の両方がもらえるという恵まれた会社も2割弱あるようです。

これは、比較的企業規模が大きい会社で採用されているようで、経団連が2021年に加盟する企業に行った調査では、6割以上の会社が退職一時金制度と企業年金制度を併用しているという結果を発表していました。

「企業年金のみ」「一時金と企業年金の併用」という会社は、受け取り方を自分で選ぶことができます。ただし、企業年金にもさまざまな種類があるので、受け取り方も確認が必要です。

一方で、退職給付制度がまったくないという会社も全体の約2割存在しています。

みなさんがお勤めの会社は、どの制度を採用していますか? 定年前に調べておきましょう。

大江 加代(おおえ・かよ)
確定拠出年金アナリスト

1967年愛知県生まれ。野村証券で一貫してサラリーマンの資産形成業務に携わり、2012年に独立。確定拠出年金の分野においてはわが国の草分け的存在で、厚生労働省社会保障審議会委員、および内閣官房「資産所得倍増分科会」構成員を務める。主な著書は『「サラリーマン女子」、定年後に備える』(日経BP)、『iDeCoのトリセツ』(ソシム)等。テレビやYouTubeでもiDeCoの専門家としてざまざまな番組やチャンネルでコメントをしている。