6.上から目線の話し方になっている

ランチタイムなのに、仕事モードのまま、常に上から目線の話し方をする人も敬遠されます。例えば、教えたがりタイプ。仕事の場ではないのに相手が必要としていないアドバイスは、ありがた迷惑になることもあります。

「え、そんなことも知らないの」などと、無意識に上から目線な物言いをしていないか気を付けましょう。そして、「あ、知ってる知ってる」「聞いたことある」と何でも知ったかぶりをせずに「へえ、それがはやっているんだ、詳しく教えて」と、“教えてキャラ”で会話に参加すると後輩と仲良くなれそうです。

他にも、上から目線で偉そうと思われてしまうのが、ただ話を聴いてほしいだけなのに過剰に解決策をアドバイスしてくるタイプです。ただ話を聴いて受け止めてほしい、共感してほしいと軽い気持ちで話したことに、「それは○○しないとダメ」とか「私ならこうするけど」と、いちいち上から目線で結論をだされると、うんざりしてしまいます。

特に女性の会話には共感が大事です。もし後輩に「聴いてください」といわれたら、「うん、そうなんだ」と肯定のあいづちで聴き役に徹し、包容力のあるところを示してください。そして、「相談に乗ってください」といわれたときにも、途中で口を挟まず話を全部聞いた後に、アドバイスをするようにしましょう。

7.会話のマナー違反を連発している

冒頭でもお伝えしたように、会話とは、対話のように意見の違いを明確にして議論を交わすのが目的ではなく、心の交流を図る言葉のキャッチボールをするものです。そのため、誰か一人に偏らずにみんなで楽しむのが会話のマナーです。こうした会話のマナーを守らない人も嫌われてしまいます。

例えば、つい粗探しをしてしまうタイプ。「山手線の駅、目黒の次は、渋谷じゃなくて恵比寿だよ」など、話の本筋に関係がないことをいちいち正して水を差すより、「それで、どうしたの」と先を促してラリーを続けたほうが、会話の目的を達せられます。会話は結論を出す必要はないので、中身が多少間違っていても多めに見ましょう。

会話のラリーの仕方にもマナーがあります。人が話している最中に、「わかる~。私も似たようなことがあってさ~」というように、会話の主導権を奪うことや、

(相手)「先週、○○映画を観に行ったんだ……」
(自分)「ああ、私もそれ観た! あの場面でさあ」

と、途中で話を取り上げてしまうのは会話泥棒でマナー違反。さらに話をかぶせた上に、「ええ? わざわざ観にいったの? あんな映画、どこが面白いのか分からない」と相手の感想も聞かずに否定するのはもってのほかです。話をしている時に腰を折られることほど嫌われる行為はありません。

自分も話したいし、意見も言いたいのも分かりますが、そこは、一旦ぐっと我慢をして、相手の話を聴きましょう。もし、言いたいことが浮かんだときは、相手の話が終わるのを待ってから「実は、私もその映画観たの。私はね、違うところが印象に残って……」と話を展開させましょう。

いかがでしょうか。会話をしていると、本人は隠しているつもりでも心の中にある傲慢ごうまんさ、見下すような意識が言葉の端々に見え隠れするものです。人望のある人の会話は、謙虚さや前向きな姿勢、みんなが楽しめるような心配りが、話題選びや話し方に表れています。ぜひ会話上手で後輩から慕われる魅力的な先輩でいてください。

阿隅 和美(あすみ・かずみ)
WACHIKAコミュニケーションズ代表

青山学院大学経営学部卒業。中部日本放送アナウンサーを経て、NHK衛星放送キャスターとして、株式市況、世界のトップニュースを10年担当。20年にわたり、スポーツ、経済、情報番組に関わる。アナウンサー名は瓶子和美。現在は、TV現場で培った技術を活かし、ビジネス現場でコミュニケーション力を発揮し、成果を出す人材を育成する研修、講座、講演を行っている他、経営層・管理職、エグゼクティブリーダー向けプレゼン・スピーチのパーソナルトレーニングやコンサルティングなどを実施している。著書に『心をつかみ思わず聴きたくなる話のつくり方』(日本能率協会マネジメントセンター)、『仕事ができる人の話し方』(青春出版社)があり台湾でも翻訳されている。ホームページ