部屋を片付けるにはどうしたらよいのか。漫画家の田房永子さんは「ずっと、『自分はモノを片付けられない性分』だと思ってきたが、長年の懸案だった子ども部屋の模様替えに着手したことで、片付けのボトルネックが『手放すと決めたもの一つひとつの手放し方を決めること』にあったと気づいた」という――。

「服を取りに行く」「寝る」だけだった子ども部屋

6年前息子が生まれた時、5年前娘が小学校に上がった時、3年前コロナ禍に突入した時、節目節目に自宅の中を作ってきました。

うちには子どもが2人いて、5歳差の姉弟です。1年もしたら、彼らの必需品や好きなものがガラリと変わるので、その度に家具を移動したり模様替えをしたりしていました。

でも、コロナ禍になって全国休校になった時期、「おうち時間」の過ごし方に焦りまくった私はトランポリンを買ったり、大きめのおもちゃやボードゲームで時間を埋めてもらおうと買ったりしました。

それらはうちにとっては「非常時だから買ったけど、実はそんなに必要ないもの」だったので、家の中で場所を取ったまま風化し、それを軸にモノが滞留していくみたいな状況が発生したのです。

子ども部屋は、娘と息子の服を入れるそれぞれの引き出しと、子どもの本を入れた本棚、娘の学習机、二段ベッドがありました。

娘と息子のスペースが一緒くたになっている状態で、リビングには息子がよく遊ぶトミカなどがどっさり置いてあります。

2人とも子ども部屋で遊ぶことはほとんどなく、「服を取りにいく」と「寝る」以外あまり使ってない部屋になっていました。そして置きっぱなしのトランポリンには上着がかけられ、それを片付けるので精いっぱいで、トランポリンをやっと畳んだ(組み立てむっちゃくちゃメンドイ)時には1年くらい経過していました。

そんなに使ってないのになぜかその子ども部屋が、片付けても片付けてもゴチャゴチャしてくる。

子ども部屋に置きっぱのトランポリン
イラスト=田房永子

モノがたまっていく場所になっていた

今思えば、「子どもが使いこなせないスペース」というのは「用途不明スペース」なので、モノの行き場がなく逆にその部屋にモノがたまっていくんですね。川の流れをせき止める部分にゴミがたまりやすいのと同じ。家の中の流れがそこで止まっていました。

それがずっとストレスだったのですが、日々「家の片付け・模様替え」以外にいろんなことをやんなきゃいけない中で、一体どこからどう片付けていいのかサッパリ分からず見て見ぬふりをし、休日は子どもを連れて外に出かけていました。

しかし去年11月に入る時、急にひらめきました。「娘と息子の部屋を分ければいいんだ!」と。いたって普通のことをやっと思いついたのです。