※本稿は、近藤麻理恵、スコット・ソネンシェイン『Joy at Work 片づけでときめく働き方を手に入れる』(河出書房新社)の一部を再編集したものです。
子供がいるとどんなに片づけても家が散らかってしまう
2人の娘を育てるようになってから、私の生活はガラリと変わりました。
子供を持つ前の私の「理想の暮らし」は、こんな感じです。
朝は爽やかに起きて、子供たちが起きてくる前にササッと身支度を整え、食事の準備をする。昼間のうちに仕事を要領よく終えて、子供とたくさん遊ぶ。夜は愛情たっぷりのご飯をつくって、家族でディナーを楽しむ。寝る前にはヨガをしてリラックスし、穏やかな気持ちで眠りにつく。もちろん、家はいつも完璧に片づいている!
……そんな生活が理想だったのですが、現実は甘くはありませんでした。出産後はとにかく時間もないし、余裕もないので、生活で最低限に求めるレベルが、自分は寝る前に顔を洗って歯さえ磨ければOK、子供は元気に生きていればまずはOK、というレベルにまで一挙に落ちてしまいました。
朝は早い時間から子供に起こされるので、ゆっくり眠ることができません。ゆえにいつもボンヤリ眠くて、集中力は明らかに落ち、予定通りに仕事や家事が終わらない。家だって、いつもキレイに片づいた状態をキープしたいけれど、子供が塩の袋をバッサリひっくり返すわ、箱で仕切ってしゃんと収納された文房具の引き出しの中身も無残に崩されるわ。
どんなに片づけても家が散らかってしまうのです。
こんなこともありました。娘たちに洋服の畳み方を教えたところ、彼女たちも何か畳みたくなったのでしょうね。棚にキレイに収納したすべての衣類を、ぐちゃぐちゃにされてしまいました。そのときは、流石にニッコリ笑うこともできず、余裕なく叱りつけてしまいあとで自己嫌悪……なんてことも。もはや、ときめきの“と”の字も見当たらない光景です。
子供が小さいうちは完璧に片づけることを諦めるべし!
娘たちが学校に行くようになって以降、多少は落ち着いてきましたが、こういった経験から私は、「子供が小さいうちは、完璧に片づけることを諦めるべし!」ということを学んだのです。
そんな中でも、せめてもと意識していたことは「自分のペースを保てる場所だけは、片づいた状態をキープする」ということ。たとえば、仕事部屋のデスクの引き出しだけはスッキリした状態をキープする、クローゼットのかける収納だけはときめく状態を保つ、などです。
毎日の生活の中で、子供がいることでコントロールの利かないことがあるからこそ、自分でコントロールできる場所のときめきは死守する。それだけでも、だいぶ気分が変わってきます。「ここにいると、ときめく」。そんな空間を家の中に一つでもつくることは、とても大切なのです。