商品価格の上昇は、私たち消費者にとって厳しいことですが、企業の立場で考えると「業績を維持して従業員の賃金を上げる」ために必要なことです。値上げができない企業は、ボーナスも賃金も増やすことができません。つまり、値上げを実行できている業種はどこか、価格据え置きを余儀なくされている業種はどこかを見極めることが、インフレに強い企業を見分ける第一歩といえます。

同じ業種内でも二極化が加速する

図は帝国データバンクの「企業の今後1年の値上げに関する動向アンケート」(2022年6月)の結果です。自社の商品やサービスを「22年4月以降に値上げした・値上げ予定」とした企業の割合は、全体平均で約7割に達しています。これを基準と考えると、卸売、製造、小売業界は、基準以上に値上げが実施できているので、インフレに対応できているといえます。一方でサービスと不動産業界は値上げが実施できておらず、業績が圧迫されている可能性があるでしょう。

また、インフレ時には同じ業種や業界の中でも二極化が進むと考えられます。物価が上昇すると、全体としてモノが売れる数は減りますから、顧客の少ない企業は苦しくなります。高いシェアを持つ企業は生き残れますが、シェアの低い企業は淘汰される可能性があります。

インフレに強い企業の条件